「児童発達支援を利用すると、幼稚園を辞めなければならないの?」
「幼稚園と児童発達支援を両立できるスケジュールが知りたい」と悩んでいる保護者もいるのではないでしょうか。
児童発達支援と幼稚園は、原則として併用できます。ただし、利用できる日数や時間、送迎の有無などは、自治体の支給決定や事業所、幼稚園によって異なります。
この記事では、児童発達支援と幼稚園を併用するメリット、スケジュール例、必要な手続き、費用や送迎に関する注意点を解説します。
児童発達支援と幼稚園は原則として併用できる
児童発達支援を利用するために、必ず幼稚園を退園・休園しなければならないわけではありません。幼稚園に在籍しながら、児童発達支援を利用することが可能です。
児童発達支援は、主に未就学の子どもを対象として、日常生活に必要な動作や集団生活への適応などを支援する障害児通所支援です。一方、幼稚園は、学校教育法に基づく教育施設です。
制度上の位置づけや役割が異なるため、幼稚園に通っていることだけを理由に、児童発達支援を利用できなくなるわけではありません。
ただし、実際に併用できる曜日や時間は、次のような条件によって変わります。
- 受給者証に記載された利用日数
- 児童発達支援事業所の空き状況
- 事業所の利用時間や送迎範囲
- 幼稚園の登園日や行事予定
- 子どもの体力や生活リズム
併用を始める前に、自治体、児童発達支援事業所、幼稚園のそれぞれと相談しておくことが大切です。
児童発達支援と幼稚園を併用する3つのメリット
幼稚園と児童発達支援では、子どもが過ごす環境や支援の目的が異なります。2つの場を併用することで、集団生活を続けながら、子どもの状況に応じた発達支援を受けられる場合があります。
幼稚園で集団生活を経験できる
幼稚園では、同年代の子どもと一緒に遊んだり、活動に参加したりする機会があります。
順番を待つ、先生の話を聞く、友達と道具を共有するといった経験は、集団生活に慣れていくための機会になります。
運動会、発表会、遠足などの行事に参加できることも、幼稚園を継続するメリットの一つです。ただし、集団生活から得られる経験や子どもの反応には個人差があります。
子どもの状況に応じた発達支援を受けられる
児童発達支援では、子どもの発達状況、生活上の困りごと、保護者の希望などを確認したうえで、児童発達支援計画が作成されます。
支援内容の例としては、次のようなものがあります。
- 身支度や食事など、日常生活に関する活動
- 体を動かす遊びや感覚を使った活動
- 言葉やコミュニケーションに関する活動
- 気持ちの切り替えや見通しを持つための支援
- 人との関わりや集団参加に関する支援
個別活動、小集団活動、親子で参加する活動など、具体的な支援方法は事業所によって異なります。
幼稚園と事業所で支援方法を共有しやすくなる
保護者の同意を得たうえで、幼稚園と児童発達支援事業所が子どもの様子や支援方法を共有することがあります。
たとえば、幼稚園で困りやすい場面を事業所へ伝えたり、事業所で取り組んでいる声かけや環境調整を幼稚園と共有したりする方法です。
それぞれの場で対応方法を共有できると、子どもが過ごしやすい環境を検討しやすくなります。ただし、情報共有の範囲や方法は、保護者、幼稚園、事業所で事前に確認する必要があります。
児童発達支援と幼稚園を併用するスケジュール例
併用方法に全国共通の決まりはありません。子どもの体力、幼稚園の予定、保護者の送迎状況などに合わせて調整します。
ここでは、一般的なスケジュール例を紹介します。
例1:幼稚園が終わったあとに利用する
- 午前8時30分:幼稚園へ登園
- 午後2時:幼稚園を降園
- 午後2時30分:児童発達支援事業所へ移動
- 午後4時30分:支援終了
- 午後5時:帰宅
幼稚園で通常どおり過ごしたあとに、児童発達支援を利用する方法です。
移動時間や活動時間が長くなるため、帰宅後に疲れが強く出ていないか、睡眠や食事に影響していないかを確認しましょう。
例2:幼稚園を早退して利用する
- 午前8時30分:幼稚園へ登園
- 午前11時30分:幼稚園を早退
- 正午:昼食
- 午後1時:児童発達支援を利用
- 午後3時30分:支援終了
週に1回程度、幼稚園を早退して児童発達支援を利用する方法です。
幼稚園の活動や行事に参加できない場合があるため、早退する曜日は園と相談して決める必要があります。
例3:幼稚園に行く日と児童発達支援の日を分ける
- 月曜日・火曜日・木曜日・金曜日:幼稚園
- 水曜日:児童発達支援
1日の途中で移動せず、曜日ごとに利用先を分ける方法です。
移動による負担を減らしやすい一方で、幼稚園を休む曜日に行事や継続的な活動がないかを確認する必要があります。
無理のないスケジュールを考えるポイント
併用スケジュールを考えるときは、次の点を確認しましょう。
- 帰宅後の疲れ方
- 睡眠時間や寝つきの変化
- 食欲や体調の変化
- 幼稚園や事業所へ行くことを嫌がっていないか
- 移動時間が長くなりすぎていないか
- 保護者の送迎負担が大きすぎないか
利用を始めたあとでも、子どもの様子に応じて曜日や時間を見直すことが大切です。
児童発達支援と幼稚園を併用するために必要な手続き
幼稚園に在籍している場合でも、児童発達支援を利用するには、自治体から通所給付決定を受ける必要があります。
手続きの詳細は自治体によって異なりますが、一般的には次のような流れで進みます。
1. 自治体の窓口へ相談する
まずは、市区町村の障害福祉担当窓口、子ども家庭センター、発達相談窓口などへ相談します。
現在の困りごと、幼稚園での様子、希望する支援内容などを伝えます。
2. 児童発達支援の利用を申請する
自治体へ障害児通所支援の利用申請書を提出します。
必要書類は自治体や子どもの状況によって異なります。障害者手帳や医学的な診断名がなくても申請できる場合がありますが、支援の必要性を確認するための書類や関係機関の意見を求められることがあります。
3. 障害児支援利用計画案を作成する
自治体から求められた場合は、指定障害児相談支援事業所に「障害児支援利用計画案」を作成してもらいます。
障害児支援利用計画案とは、子どもや家族の希望、生活状況、必要な支援、利用するサービスなどをまとめた計画です。
自治体の運用や保護者の希望によっては、保護者などが作成するセルフプランを提出できる場合もあります。
4. 自治体による面接や確認を受ける
自治体の担当者が、子どもの心身の状況、家庭や幼稚園での様子、希望する利用日数などを確認します。
その後、支援の必要性や障害児支援利用計画案などを踏まえ、利用の可否や利用できる日数が決定されます。
5. 通所受給者証を受け取る
支給決定されると、「通所受給者証」が発行されます。
通所受給者証には、利用できる障害児通所支援の種類、利用日数、利用者負担上限月額、有効期間などが記載されます。
申請から発行までに要する期間は自治体や手続きの状況によって異なります。利用開始を希望する時期が決まっている場合は、早めに自治体へ相談しましょう。
6. 児童発達支援事業所と契約する
通所受給者証が発行されたら、利用する児童発達支援事業所と契約します。
契約前には、利用時間、支援内容、送迎、実費負担、欠席時の連絡方法などを確認しておきましょう。
児童発達支援と幼稚園を併用した場合の費用
児童発達支援は就学前の一定期間が無償化の対象
児童発達支援の利用者負担は、原則として、3歳になって初めて迎える4月1日から小学校入学前までの3年間が無償化の対象です。
無償となるのは、児童発達支援のサービス利用に対する利用者負担です。次のような費用は、実費として負担する場合があります。
- 食事代
- おやつ代
- 教材費
- 行事費
- 日用品費
実費の種類や金額は事業所によって異なるため、契約前に確認してください。
幼稚園側の無償化には施設ごとの違いがある
幼稚園も幼児教育・保育の無償化の対象となる場合があります。
ただし、幼稚園の種類や利用するサービスによって、無償化の上限額や必要な認定、申請方法が異なります。通園送迎費、食材料費、行事費などは、原則として保護者負担です。
児童発達支援と幼稚園を併用する場合でも、条件を満たせば双方が無償化の対象となります。詳しい条件は自治体と幼稚園の両方に確認しましょう。
児童発達支援と幼稚園を併用するときの送迎
児童発達支援事業所によっては、幼稚園への迎えや自宅への送りに対応しています。
ただし、すべての事業所が送迎を行っているわけではなく、送迎範囲、曜日、時間、定員などにも違いがあります。
幼稚園から事業所へ送迎してもらえる場合がある
事業所の送迎範囲に幼稚園が含まれている場合、幼稚園の降園後に事業所の車で迎えに来てもらえることがあります。
幼稚園からの送迎を利用する場合は、次の点を確認しましょう。
- 幼稚園が事業所への引き渡しに対応できるか
- 迎えに来る時間と待機場所
- 欠席や早退時の連絡方法
- 誰が子どもを引き渡すか
- 幼稚園の行事日にも利用できるか
幼稚園側の了解が必要になるため、保護者だけで決めず、事前に幼稚園と事業所の双方へ確認してください。
支援終了後に自宅へ送ってもらえる場合がある
支援終了後に、自宅まで送迎する事業所もあります。
自宅送迎を利用できれば、保護者が事業所まで迎えに行く回数を減らせる場合があります。
ただし、道路状況や他の利用者の送迎順によって、帰宅時間が前後することがあります。送迎時に子どもの様子をどのように共有するかも、事業所によって異なります。
送迎サービスで確認したい項目
- 幼稚園と自宅が送迎範囲に入っているか
- 利用できる曜日と時間
- 送迎に追加費用がかかるか
- 車いすや医療的ケアへの対応
- 欠席や予定変更の連絡期限
- 事故や災害時の対応
送迎があることだけで決めず、子どもの乗車時間や安全管理体制も確認することが大切です。
児童発達支援と幼稚園の併用に関するよくある疑問
発達障害の診断がなくても利用できる?
児童発達支援の利用に、医学的な診断名や障害者手帳が必ず必要というわけではありません。
乳幼児健診や発達相談などを通じて支援の必要性が認められ、市区町村が通所給付決定を行った場合は、診断名がなくても利用できることがあります。
ただし、必要となる書類や確認方法は自治体によって異なります。医療機関、保健センター、児童相談所などの意見を求められる場合もあるため、自治体の窓口へ確認してください。
子どもが疲れてしまわないか心配
幼稚園と児童発達支援を同じ日に利用すると、活動時間や移動時間が長くなり、疲れが出ることがあります。
次のような変化が続く場合は、スケジュールを見直す目安になります。
- 朝起きにくくなった
- 帰宅後に強く不機嫌になる
- 食欲が落ちた
- 寝つきが悪くなった
- 幼稚園や事業所へ行くことを強く嫌がる
利用開始時は少ない日数から始める、同じ日に予定を詰め込みすぎないなど、子どもの様子に合わせて調整しましょう。
体調や行動の変化が続く場合は、事業所、幼稚園、自治体の相談窓口、必要に応じて医療機関へ相談してください。
幼稚園に児童発達支援の利用を伝えるべき?
児童発達支援を利用していることを幼稚園へ伝える法律上の一律の義務があるわけではありません。
ただし、幼稚園から事業所への送迎を利用する場合や、幼稚園と事業所で支援方法を共有したい場合は、伝える必要があります。
情報共有を行うときは、保護者の同意を前提として、子どもへの配慮事項や有効な声かけなど、必要な範囲に限定します。
伝え方に迷う場合は、児童発達支援事業所や相談支援専門員と、共有する内容を整理してから幼稚園へ相談するとよいでしょう。
幼稚園を休んだ日数は児童発達支援の利用日数に影響する?
幼稚園の出席日数と、児童発達支援の支給日数は別に管理されます。
児童発達支援は、通所受給者証に記載された支給量の範囲内で利用します。幼稚園を休めば、その分だけ児童発達支援を自由に利用できるという仕組みではありません。
利用日数を増やしたい場合は、自治体や相談支援専門員への相談が必要です。
まとめ|児童発達支援と幼稚園は子どもの様子に合わせて併用しよう
児童発達支援と幼稚園は、原則として併用できます。
幼稚園で集団生活を経験しながら、児童発達支援で子どもの状況に応じた支援を受けられることが、併用の主な特徴です。
ただし、利用日数、送迎、費用、必要書類などは、自治体、幼稚園、児童発達支援事業所によって異なります。
併用を検討するときは、子どもの体力や生活リズムを優先し、自治体の担当窓口、幼稚園、児童発達支援事業所、相談支援専門員などと相談しながら、無理のない通い方を検討しましょう。

