児童発達支援とは?保育園との違いと利用までの4つの手順

児童発達支援

保育園や乳幼児健診などで子どもの発達について相談を勧められても、何から始めればよいのか分からず、不安に感じる保護者は少なくありません。

児童発達支援は、主に小学校入学前の子どものうち、発達支援が必要と認められた子どもとその家族を支える障害児通所支援です。日常生活に必要な動作や知識・技能、集団生活への参加などについて、子どもの状態や生活環境に合わせた支援を行います。

利用にあたって、医学的な診断名や障害者手帳が必ず必要になるわけではありません。ただし、市区町村による通所給付決定を受け、通所受給者証を取得する必要があります。

この記事では、児童発達支援の対象、保育園との違い、受けられる支援、費用、利用開始までの手順を解説します。

  1. 児童発達支援は誰が利用できる?診断や手帳の必要性
    1. 主に小学校入学前で支援が必要と認められた子ども
    2. 診断名や障害者手帳は必須ではない
    3. 利用には通所受給者証が必要
  2. 児童発達支援と保育園の役割の違い
    1. 施設を利用する目的が異なる
    2. 1日の過ごし方や利用時間が異なる
    3. 配置される職員が異なる
  3. 児童発達支援で受けられる主な支援
    1. 個別の支援計画に基づく本人支援
    2. 集団活動への参加を支える支援
    3. 家族への相談や情報提供
    4. 保育園や就学先との連携・移行支援
  4. 発達が気になった段階で相談するメリット
    1. 子どもに伝わりやすい関わり方を考えられる
    2. 就学に向けて必要な準備を整理できる
    3. 保護者が相談先を持てる
  5. 児童発達支援と保育園を併用する際のポイント
    1. 子どもの体力に配慮して利用日数を決める
    2. 保護者の同意のもとで情報を共有する
  6. 児童発達支援の費用で確認しておきたいこと
    1. 利用者負担には月ごとの上限がある
    2. 小学校入学前の3年間は無償化の対象になる
    3. おやつ代や日用品費などは実費になる場合がある
  7. 児童発達支援の利用を開始するまでの4つの手順
    1. 1.自治体の相談窓口に相談する
    2. 2.児童発達支援事業所を見学する
    3. 3.通所給付の申請と利用計画案の準備をする
    4. 4.支給決定後に事業所と契約する
  8. まとめ|児童発達支援と保育園の違いを知って利用方法を確認しよう

児童発達支援は誰が利用できる?診断や手帳の必要性

児童発達支援は、希望すれば誰でもすぐに利用できるサービスではありません。子どもの状態や生活環境、支援の必要性などを市区町村が確認したうえで、利用の可否や利用日数が決定されます。

主に小学校入学前で支援が必要と認められた子ども

児童発達支援の対象となるのは、主に小学校入学前の子どものうち、個別または集団での発達支援が必要と認められた子どもです。

対象となる例には、次のようなケースがあります。

  • 乳幼児健診や発達相談で支援の必要性を指摘された
  • 保育園や幼稚園での生活において、専門的な支援が必要と判断された
  • 言葉、運動、コミュニケーション、生活動作などに気になる点がある
  • 医療的ケアや機能訓練を含む支援が必要と認められた

発達の気になる点があるからといって、必ず児童発達支援の対象になるわけではありません。利用の必要性は、子どもの状態や家庭・園での様子などを踏まえて、市区町村が個別に判断します。

診断名や障害者手帳は必須ではない

児童発達支援の利用に、医学的な診断名や障害者手帳が必ず必要になるわけではありません。

障害者手帳を持っていない場合でも、乳幼児健診、自治体の発達相談、市区町村保健センター、児童相談所、保健所などからの情報により、支援の必要性が認められれば利用できる可能性があります。

医師の診断書や意見書が必要かどうかは、自治体や子どもの状況によって異なります。子どもの状態や支援の必要性を確認できる資料がない場合などに、診断書の提出を求められることがあります。

申請前に、お住まいの市区町村の障害児支援担当窓口や発達相談窓口で、必要な書類を確認しましょう。

利用には通所受給者証が必要

児童発達支援を公費負担の対象となるサービスとして利用するには、市区町村から交付される通所受給者証が必要です。

通所受給者証には、利用できるサービスの種類、利用日数、利用者負担の上限額、有効期間などが記載されます。

通所受給者証は、療育手帳や身体障害者手帳などの障害者手帳とは異なるものです。障害者手帳を持っていなくても、通所受給者証が交付される場合があります。

児童発達支援と保育園の役割の違い

児童発達支援と保育園は、どちらも未就学の子どもが利用する場所ですが、制度上の目的や支援内容が異なります。

ここでは、一般に「保育園」と呼ばれている保育所と、児童発達支援の違いを解説します。

施設を利用する目的が異なる

保育園は、保育を必要とする子どもに対して、生活と遊びを通じた養護と教育を一体的に行う児童福祉施設です。保護者の就労だけでなく、病気、介護、妊娠・出産など、家庭で必要な保育を受けることが難しい事情がある場合に利用されます。

一方、児童発達支援は、子どもの状態や発達段階、生活環境に応じて、日常生活に必要な動作や知識・技能、集団生活への参加などを支援する障害児通所支援です。

  • 保育園:保育を必要とする子どもの生活と育ちを支える
  • 児童発達支援:発達支援が必要と認められた子どもに、個別の支援計画に基づく支援を行う

どちらか一方が優れているというものではなく、それぞれ異なる役割があります。

1日の過ごし方や利用時間が異なる

保育園では、食事、着替え、昼寝、自由遊び、集団活動などを含め、生活全体を通じた保育が行われます。

児童発達支援では、子どもごとに作成される児童発達支援計画に基づき、遊びや活動を通じた支援が行われます。利用時間は、1時間程度の短時間型、半日型、1日型など、事業所によって異なります。

支援方法も事業所によって異なり、個別活動と集団活動を組み合わせる場合があります。見学時には、子どもの生活リズムや支援ニーズに合う利用時間と活動内容かを確認することが大切です。

配置される職員が異なる

保育園では、主に保育士が子どもの保育を担当します。

一般的な児童発達支援事業所では、次のような職員が配置されています。

  • 児童発達支援管理責任者
  • 児童指導員
  • 保育士

児童発達支援管理責任者は、子どもや家族の希望、子どもの状態、生活環境などを確認し、児童発達支援計画の作成や支援内容の調整を担当する職員です。

事業所によっては、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、心理職、看護職員などが配置されている場合もあります。ただし、すべての事業所にこれらの専門職が在籍しているわけではありません。

児童発達支援で受けられる主な支援

児童発達支援では、子どもの状態や発達段階だけでなく、家庭や保育園などでの生活も踏まえて支援内容を検討します。

本人への支援は、次の5つの領域との関連を確認しながら、総合的に組み立てられます。

  • 健康・生活
  • 運動・感覚
  • 認知・行動
  • 言語・コミュニケーション
  • 人間関係・社会性

個別の支援計画に基づく本人支援

児童発達支援では、子ども一人ひとりについて児童発達支援計画を作成し、その計画に基づいて支援を行います。

「個別支援」は、必ずしもスタッフと子どもが一対一で活動することだけを意味しません。子どもの希望や状態、得意なこと、困っていることなどを踏まえ、その子どもに合わせて支援目標や方法を設定することを指します。

例えば、言葉だけでは予定を理解しにくい場合に、写真や絵を使って見通しを伝えることがあります。身体を動かす活動、手先を使う遊び、やり取りを楽しむ活動などを取り入れる場合もあります。

実際の支援内容や方法は、子どもの状態と事業所の方針によって異なります。

集団活動への参加を支える支援

事業所によっては、複数の子どもが一緒に行う活動も取り入れています。

  • 歌や体操を一緒に楽しむ
  • 順番を待つ経験をする
  • ほかの子どもと道具を共有する
  • 挨拶や片付けに取り組む
  • 自分の気持ちを伝える方法を練習する

集団活動では、全員に同じ行動を求めるのではなく、子どもの発達段階や負担に配慮しながら参加方法を調整します。

こうした経験が、保育園や幼稚園、小学校などでの生活を考える手がかりになる場合があります。

家族への相談や情報提供

児童発達支援では、子ども本人への支援だけでなく、家族への相談支援も行います。

家族支援の内容には、次のようなものがあります。

  • 子どもの発達状況や特性についての説明
  • 家庭で困っていることについての相談
  • 子どもに伝わりやすい声かけや環境調整の提案
  • 子育てや利用できる制度に関する情報提供
  • 保護者同士が交流する機会の提供

実施している相談や家族支援の内容は、事業所によって異なります。見学時に、面談の頻度や相談方法も確認しておくとよいでしょう。

保育園や就学先との連携・移行支援

児童発達支援には、保育園や幼稚園との併行利用、就学、地域での生活などを見据えた移行支援も含まれます。

保護者の同意を得たうえで、保育園や幼稚園、相談支援事業所、医療機関などと、子どもの様子や支援方法を共有する場合があります。

連携の方法は、連絡帳、電話、支援会議、見学などさまざまです。すべての事業所が同じ方法で連携するわけではないため、希望する連携が可能か事前に確認しましょう。

発達が気になった段階で相談するメリット

子どもの発達について気になることがあっても、すぐに児童発達支援を利用しなければならないわけではありません。

まずは自治体の発達相談窓口、こども家庭センター、乳幼児健診の担当者、かかりつけ医などに相談することで、子どもに必要な支援や利用できる制度を整理しやすくなります。

子どもに伝わりやすい関わり方を考えられる

子どもの行動には、言葉の理解、感覚の受け取り方、環境、疲れなど、さまざまな背景が関係している場合があります。

専門職や支援者と一緒に子どもの様子を整理することで、声のかけ方、予定の伝え方、活動しやすい環境などを考える手がかりが得られることがあります。

ただし、特定の関わり方がすべての子どもに合うわけではありません。子どもの反応を確認しながら、無理のない方法を検討することが大切です。

就学に向けて必要な準備を整理できる

児童発達支援では、小学校生活だけを目標にするのではなく、現在の生活や子どもの希望を大切にしながら、将来を見据えた支援を行います。

例えば、次のようなことを子どものペースに合わせて経験していきます。

  • 困ったときに助けを求める
  • 自分の気持ちを伝える
  • 活動の始まりと終わりを知る
  • 安心して過ごせる方法を見つける
  • 集団活動に自分なりの方法で参加する

就学先や必要な配慮については、自治体、保育園、幼稚園、支援事業所、学校などと相談しながら検討します。

保護者が相談先を持てる

子どもの発達や子育てに関する悩みを、家庭だけで抱える必要はありません。

定期的に相談できる支援者とつながることで、家庭や保育園での様子を整理したり、利用できる制度について情報を得たりしやすくなります。

保護者の困りごとや希望も家庭ごとに異なります。相談先を一つに限定せず、必要に応じて自治体、医療機関、保育園、相談支援事業所などを利用することが大切です。

児童発達支援と保育園を併用する際のポイント

児童発達支援と保育園は、併行して利用できる場合があります。

ただし、実際に併用できるかどうかは、市区町村による通所給付決定、事業所の空き状況、保育園との時間調整、送迎の可否などによって異なります。

子どもの体力に配慮して利用日数を決める

異なる環境を行き来することが、子どもの負担になる場合があります。

併用する際は、次のような点を確認しましょう。

  • 帰宅後に強い疲れが見られないか
  • 睡眠や食事のリズムが崩れていないか
  • 本人が通所を強く嫌がっていないか
  • 移動時間が長くなりすぎていないか
  • 家庭で落ち着いて過ごす時間を確保できているか

利用日数を増やすことが、必ずしも子どもにとって良いとは限りません。子どもの様子を確認し、事業所や保育園とも相談しながら調整しましょう。

保護者の同意のもとで情報を共有する

保育園と児童発達支援事業所が子どもの様子を共有することで、それぞれの場所で必要な配慮を検討しやすくなる場合があります。

例えば、児童発達支援で分かった伝わりやすい声かけや、保育園で困りやすい場面を共有することが考えられます。

ただし、情報共有は保護者の意向や同意を確認したうえで行うことが基本です。共有する情報の範囲、相手、方法について、事前に確認しておきましょう。

児童発達支援の費用で確認しておきたいこと

児童発達支援の利用には、サービスの利用者負担と、おやつ代などの実費がかかる場合があります。

実際の負担額は、世帯の所得区分、無償化の対象年齢、自治体独自の助成、事業所で発生する実費などによって異なります。

利用者負担には月ごとの上限がある

児童発達支援の利用者負担には、世帯の所得区分に応じた月ごとの上限額が設けられています。

月額上限が適用される場合は、ひと月に利用したサービス量にかかわらず、原則として上限額を超える利用者負担は生じません。

複数の障害児通所支援事業所を利用している場合などには、利用者負担の上限額を管理する手続きが必要になることがあります。

具体的な負担上限額や自治体独自の助成については、市区町村の窓口や通所受給者証で確認しましょう。

小学校入学前の3年間は無償化の対象になる

児童発達支援の利用者負担は、原則として、満3歳になった後の最初の4月1日から小学校入学前までの3年間、無償化の対象になります。

無償化の開始や終了にあたり、通常は新たな申請手続きは必要ありません。ただし、利用している事業所に対象年齢であることを確認しておくと安心です。

保育園と児童発達支援を併行して利用している場合も、それぞれの制度で無償化の対象になることがあります。

おやつ代や日用品費などは実費になる場合がある

無償化の対象となるのは、児童発達支援の基本的な利用者負担です。次のような費用は、別途実費がかかる場合があります。

  • 食事やおやつにかかる費用
  • 日用品費
  • 外出活動に伴う交通費や入場料
  • 日常生活でも通常必要となる物品の費用

事業所が実費を求める場合は、費用の内容や金額について事前に説明を受けることになります。見学や契約時に、毎月どのような費用が発生する可能性があるか確認しましょう。

児童発達支援の利用を開始するまでの4つの手順

児童発達支援の利用手続きは、自治体によって案内方法や順番が異なります。

施設見学と受給者証の申請を並行して進める場合もありますが、一般的には次のような流れで利用を開始します。

1.自治体の相談窓口に相談する

まずは、子どもが住んでいる市区町村の障害児支援担当窓口、子育て支援窓口、発達相談窓口などに相談します。

窓口の名称は、「障害福祉課」「こども福祉課」「発達支援課」など、自治体によって異なります。

相談時には、次のような内容を伝えると状況を整理しやすくなります。

  • 家庭で気になっていること
  • 保育園や幼稚園から伝えられたこと
  • 乳幼児健診や医療機関で相談した内容
  • 利用を希望する曜日や日数
  • 送迎の必要性

電話やオンラインで相談できる自治体もあるため、まずは自治体の案内を確認しましょう。

2.児童発達支援事業所を見学する

自治体から事業所の情報を得たり、自分で事業所を調べたりして、利用を検討している事業所を見学します。

見学時には、次の点を確認しましょう。

  • 支援方針や活動内容
  • 利用時間と1日の流れ
  • 職員の配置や保有資格
  • 個別活動と集団活動の内容
  • 保護者との面談や情報共有の方法
  • 保育園や幼稚園との連携方法
  • 送迎の範囲や条件
  • 空き状況や利用開始時期
  • 利用者負担以外に必要な実費

事業所によって支援内容や利用時間が異なります。可能であれば複数の事業所を見学し、子どもの様子や家庭の生活に合うかを比較しましょう。

3.通所給付の申請と利用計画案の準備をする

児童発達支援の利用を希望する場合は、子どもが住んでいる市区町村に通所給付の申請を行います。

申請後は、子どもの心身の状態、生活環境、家庭や保育園での様子、希望する支援などについて、自治体による面接や聞き取りが行われます。

市区町村から提出を求められた場合は、障害児支援利用計画案を準備します。これは、子どもと家族の希望、必要な支援、利用するサービスなどをまとめた計画案です。

計画案は、指定障害児相談支援事業所の相談支援専門員に作成を依頼する方法があります。自治体の取り扱いや保護者の希望によっては、保護者などが作成する「セルフプラン」を提出できる場合もあります。

診断書、意見書、障害者手帳などの必要書類は、子どもの状況や自治体によって異なります。申請前に必要書類を確認してください。

4.支給決定後に事業所と契約する

市区町村は、子どもの状態や生活環境、保護者の利用意向、障害児支援利用計画案などを踏まえて、利用の可否、利用日数、有効期間などを決定します。

支給が決定されると、通所受給者証が交付されます。その後、利用する児童発達支援事業所と契約を結びます。

契約時には、重要事項説明書などを確認し、次の内容について説明を受けましょう。

  • 利用する曜日と時間
  • 支援内容と個別支援計画の作成方法
  • 利用者負担と実費
  • 送迎の条件
  • 欠席時の連絡方法
  • 緊急時や災害時の対応
  • 個人情報の取り扱い
  • 保育園や関係機関との連携方法

疑問がある場合は、契約前に説明を受け、内容を理解したうえで利用を開始することが大切です。

まとめ|児童発達支援と保育園の違いを知って利用方法を確認しよう

児童発達支援は、主に小学校入学前で、発達支援が必要と認められた子どもとその家族を支える障害児通所支援です。

利用にあたって、医学的な診断名や障害者手帳が必ず必要になるわけではありません。ただし、市区町村による通所給付決定を受け、通所受給者証を取得する必要があります。

保育園は、保育を必要とする子どもの生活と育ちを支える施設です。児童発達支援とは制度上の目的や支援内容が異なりますが、条件が整えば併行して利用できる場合があります。

利用者負担には所得区分に応じた月額上限があり、満3歳になった後の最初の4月1日から小学校入学前までの3年間は、基本的な利用者負担が無償化されます。ただし、食費や日用品費などの実費がかかる場合があります。

利用を検討するときは、まず自治体の相談窓口で必要な手続きや書類を確認し、事業所の見学と受給者証の申請を進めましょう。子どもの状態や家庭の生活に合う支援先を、関係者と相談しながら検討することが大切です。

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