3歳の言葉の遅れが気になるとき|7つの声かけの工夫と相談先

児童発達支援

「3歳になっても単語で話すことが多い」「同年代の子と比べて言葉がゆっくりな気がする」と、不安を感じている方もいるのではないでしょうか。

3歳頃は言葉によるやりとりが広がっていく時期ですが、発達のペースには個人差があります。言葉がゆっくりだからといって、一つの原因だけで説明できるわけではありません。

本記事では、3歳頃の言葉の発達の目安や、言葉がゆっくりな背景として考えられること、家庭でできる7つの関わり方を解説します。あわせて、相談を検討する目安や児童発達支援などの相談先についても紹介します。

  1. 3歳児における言葉の発達の目安
  2. 3歳で言葉の遅れが気になるときに確認したい様子
    1. 使う言葉がなかなか増えない
    2. 二語文がほとんど見られない
    3. 言葉の理解や質問への応答が難しい
    4. 話している内容が伝わりにくい
  3. 3歳の言葉の遅れに考えられる背景
    1. 言葉の理解がゆっくりな場合
    2. 理解に比べて話す言葉がゆっくりな場合
    3. 聞こえが関係している場合
    4. 発音や口の機能が関係している場合
    5. 発達特性などが関係している場合
  4. 3歳の言葉の遅れを親の育て方だけで説明することはできない
  5. 3歳の言葉が気になるときに家庭でできる7つの声かけの工夫
    1. 1.子どもが受け取りやすい短い言葉で話す
    2. 2.子どもが見ているものを言葉にする
    3. 3.子どもの言葉や身振りを受け止める
    4. 4.絵本を一緒に楽しむ
    5. 5.答えやすい選択肢を示す
    6. 6.歌や手遊び、ごっこ遊びを取り入れる
    7. 7.ほかの子どもと関われる機会をつくる
  6. 3歳の言葉の遅れで専門機関に相談する目安
  7. 3歳の言葉の遅れに対する児童発達支援という選択肢
    1. 児童発達支援とは
    2. 言語聴覚士などがいる事業所もある
    3. 子どもの状況に合わせた支援計画が作成される
    4. 家庭での関わり方について相談できる場合もある
  8. 児童発達支援以外で3歳の言葉の遅れを相談できる窓口
    1. 地域子育て支援拠点・子育て支援センター
    2. 市区町村の保健センターなど
    3. 発達障害者支援センターなど
    4. 小児科・耳鼻咽喉科などの医療機関
  9. まとめ|3歳の言葉の遅れが気になったら一人で判断せず相談しよう

3歳児における言葉の発達の目安

3歳頃になると、単語を組み合わせた表現が増え、簡単な会話のやりとりが続くようになる子どもが多くなります。自分の名前を答えたり、「これなに?」「どこ?」などと質問したりする姿も見られるようになります。

発音については、まだ大人と同じようにすべての音をはっきり言える時期ではありません。一方で、身近な家族以外にも話している内容が伝わる場面が増えていきます。

ただし、言葉の発達には個人差があります。発達の目安は「できなければ異常」という基準ではなく、子どもの様子を考えるための参考として捉えることが大切です。

3歳で言葉の遅れが気になるときに確認したい様子

3歳頃になると、話す言葉だけでなく、言葉の理解や会話のやりとりなどにも発達の違いが見えやすくなります。

ここでは、家庭で確認しやすい4つのポイントを紹介します。一つ当てはまるだけで原因を判断することはできません。気になる状態が続いている場合は、乳幼児健診や専門機関で相談してみましょう。

使う言葉がなかなか増えない

話す言葉がとても少ない状態が続いている、以前と比べても新しい言葉がほとんど増えていないといった場合は、言葉の発達について相談してみてもよいでしょう。

言葉の数だけを見るのではなく、身振りや指差しで気持ちを伝えられているか、大人の話をどの程度理解しているかなども大切なポイントです。

普段使っている言葉や、どのような場面で話しやすいかを記録しておくと、健診や専門家への相談時に役立ちます。

二語文がほとんど見られない

3歳頃には、「ママ、きた」「お水、ちょうだい」のように、複数の言葉を組み合わせて伝える姿が多く見られるようになります。

3歳になっても二語文が見られず、単語だけでのやりとりが続いている場合は、相談を検討する目安の一つです。

ただし、家庭と園などでは話し方が異なることもあります。保育園や幼稚園に通っている場合は、園での言葉やコミュニケーションの様子も聞いてみるとよいでしょう。

言葉の理解や質問への応答が難しい

言葉を話す力だけでなく、聞いた言葉を理解する力もコミュニケーションには大切です。

「くつを持ってきて」などの簡単な言葉が伝わりにくい、簡単な質問への応答が難しいといった様子が続く場合は、言葉の理解や聞こえなどについて確認してもらう方法があります。

呼びかけへの反応が少ない場合も、言葉の発達だけで判断せず、必要に応じて小児科や耳鼻咽喉科などに相談してみましょう。

話している内容が伝わりにくい

3歳頃は、まだ発音が完成している時期ではありません。特定の音を別の音で発音したり、言葉の一部が聞き取りにくかったりすることもあります。

一方で、家族でもほとんど聞き取れない状態が続いている場合や、本人が伝わらないことに強く困っている場合には、専門家へ相談してみてもよいでしょう。

発音だけでなく、聞こえや口の動きなども含めて確認してもらうことがあります。

3歳の言葉の遅れに考えられる背景

3歳で言葉の発達がゆっくりに感じられる背景には、さまざまな要因があります。言葉の理解や表現、聞こえ、発音、発達特性などが関係することもあり、一つの原因だけで説明できない場合もあります。

家庭だけで原因を判断するのは難しいため、気になる場合は専門家に相談しながら子どもの全体的な発達を確認することが大切です。

言葉の理解がゆっくりな場合

話す言葉が少ない子どもの中には、聞いた言葉の意味を理解する力もゆっくり発達している場合があります。

たとえば、簡単な指示が伝わりにくい、絵本を見ながら名前を聞いても指差しで答えることが難しいなど、話すこと以外にも気になる様子が見られることがあります。

ただし、その日の体調や興味、環境によって反応が変わることもあります。一つの行動だけで判断しないことが大切です。

理解に比べて話す言葉がゆっくりな場合

周囲の言っていることは理解できていても、自分から話す言葉がゆっくり増えていく子どももいます。

身振りや指差しで希望を伝えたり、簡単な指示を理解したりできていても、発話だけが少ないことがあります。

言葉の増え方には個人差がありますが、3歳になっても二語文が見られないなど気になる状態がある場合は、「そのうち話すだろう」と決めつけず、健診や専門機関で相談してみるとよいでしょう。

聞こえが関係している場合

言葉の発達には、周囲の音や言葉を聞き取る力も関係しています。

呼びかけへの反応が少ない、テレビなどの音量を大きくしたがる、中耳炎を繰り返しているなど、聞こえについて気になる様子がある場合は、耳鼻咽喉科への相談を検討しましょう。

子どもの聞こえにくさは周囲が気づきにくいこともあります。必要に応じて聴力などを確認してもらうことで、その後の対応につながります。

発音や口の機能が関係している場合

言いたいことはあるものの、発音がうまく伝わらない場合には、音を作る口や舌の動きなどが関係していることがあります。

また、食べ物を噛みにくい、飲み込みにくそうにする、食事の際にむせるなど、食べる機能について気になる様子がある場合は、発音だけの問題と考えず相談することが大切です。

家庭で口や舌のトレーニングを自己判断で行うのではなく、気になる場合は小児科、歯科・歯科口腔外科、言語聴覚士などの専門家に相談しましょう。

発達特性などが関係している場合

言葉の発達がゆっくりな背景に、自閉スペクトラム症(ASD)や知的発達などの特性が関係している場合もあります。

言葉だけでなく、呼びかけへの反応、身振りや指差し、ほかの人とのやりとり、遊び方など、さまざまな様子を総合して確認することが大切です。

言葉が遅いという理由だけで発達障害などを判断することはできません。気になる様子がある場合は、小児科や保健センターなどに相談し、必要に応じて専門的な評価につなげてもらいましょう。

3歳の言葉の遅れを親の育て方だけで説明することはできない

子どもの言葉がゆっくりだと、「もっと話しかければよかったのでは」「自分の接し方が悪かったのでは」と考えてしまう保護者もいます。

しかし、言葉の発達には、子ども自身の発達のペースや聞こえ、コミュニケーションの特徴など、さまざまな要素が関係します。保護者の育て方だけで言葉の遅れを説明することはできません。

原因探しに集中するよりも、今の子どもの様子を知り、必要に応じて専門家と一緒に関わり方や支援を考えていくことが大切です。

3歳の言葉が気になるときに家庭でできる7つの声かけの工夫

家庭では、「言葉を言わせる」ことを目標にするより、子どもが人とのやりとりを楽しみやすい環境をつくることが大切です。

ここでは、日常生活の中で無理なく取り入れやすい7つの工夫を紹介します。

1.子どもが受け取りやすい短い言葉で話す

話しかけるときは、子どもの顔が見える位置から、注意がこちらに向いているタイミングで伝えてみましょう。

無理に目を合わせる必要はありません。「くつ、はこうね」「お水、飲もうか」のように、短くわかりやすい言葉を使う方法があります。

言葉を理解するまで少し時間が必要な子どももいるため、話しかけたあとに返事を急がず待ってみることも大切です。

2.子どもが見ているものを言葉にする

子どもが見ているものや、していることを大人が短い言葉で表現してみましょう。

たとえば、車を見ているときに「赤い車だね」、水を飲んでいるときに「お水、おいしいね」のように伝えます。

子どもの興味に合わせて言葉を添えることで、目の前の出来事と言葉を一緒に経験する機会をつくれます。

3.子どもの言葉や身振りを受け止める

子どもが言葉や声、指差しなどで何かを伝えようとしたときは、できる範囲でその意図を受け止めて返してみましょう。

「ブーブー」と言ったら「ブーブー来たね」「赤い車だね」など、少しだけ言葉を付け加えて返す方法があります。

発音を間違えたときも、毎回言い直させる必要はありません。大人が自然な言葉で言い直して聞かせる程度にすると、やりとりを続けやすくなります。

4.絵本を一緒に楽しむ

絵本は、さまざまな言葉に触れながら親子でやりとりできる方法の一つです。

最初から最後まで読み切る必要はありません。子どもが興味を持った絵を指差して「りんごだね」「ワンワンいるね」と話すだけでも構いません。

同じ絵本を何度も読みたがる場合も、子どもの興味を大切にしながら一緒に楽しんでみましょう。

5.答えやすい選択肢を示す

「何が飲みたい?」という質問が難しい場合は、「お茶とお水、どっち?」のように選択肢を示す方法があります。

最初は指差しで答えても問題ありません。子どもが水を指差したら、大人が「お水だね」と言葉を添えることで、希望と言葉を結びつける機会になります。

無理に言葉を繰り返させず、伝えようとしたこと自体を受け止めることが大切です。

6.歌や手遊び、ごっこ遊びを取り入れる

歌や手遊び、ごっこ遊びなど、子どもが楽しめる遊びの中にもコミュニケーションの機会があります。

好きな歌の一部を一緒に楽しんだり、おままごとで「どうぞ」「いただきます」とやりとりしたりするなど、子どもの興味に合わせて遊んでみましょう。

言葉を覚えさせるための練習にするのではなく、やりとりそのものを楽しめることを大切にします。

7.ほかの子どもと関われる機会をつくる

公園や児童館、地域の親子向け活動などで、同じくらいの年齢の子どもと過ごす機会をつくる方法もあります。

ただし、積極的に一緒に遊ばなければならないわけではありません。ほかの子を見たり、同じ場所でそれぞれ遊んだりすることも子どもにとって一つの経験です。

集団が苦手な子どももいるため、本人の様子を見ながら無理のない範囲で参加しましょう。

3歳の言葉の遅れで専門機関に相談する目安

子どもの言葉について保護者が「気になる」と感じている場合は、それだけでも相談して構いません。相談するために、明確な診断や特定の症状がそろうまで待つ必要はありません。

特に、次のような様子がある場合は、乳幼児健診や小児科、保健センターなどで相談を検討しましょう。

  • 3歳になっても二語文が見られない
  • 話す言葉がとても少なく、増え方が気になる
  • 簡単な言葉や指示の理解が難しい
  • 呼びかけや音への反応が気になる
  • 家族でも話している内容をほとんど聞き取れない
  • 一度使えていた言葉やコミュニケーションが減ってきた
  • 保護者自身が言葉や発達について強い不安を感じている

聞こえが気になる場合は、耳鼻咽喉科への相談も選択肢です。一度使えていた言葉が減るなど、これまでできていたことに明らかな変化がある場合は、早めに小児科などへ相談しましょう。

3歳の言葉の遅れに対する児童発達支援という選択肢

3歳の子どもの言葉やコミュニケーションを含め、発達について支援が必要と認められる場合には、児童発達支援を利用できることがあります。

利用条件や支給量、必要な手続きは子どもの状況や自治体によって異なるため、まずは市区町村の障害児支援担当窓口などで確認しましょう。

児童発達支援とは

児童発達支援は、主に未就学で、発達支援が必要と認められる子どもを対象とした児童福祉法に基づく障害児通所支援です。

利用にあたっては、保護者が市区町村へ申請し、支援の必要性などについて確認を受けたうえで通所給付決定を受けます。その後、通所受給者証が交付され、利用する事業所と契約するのが一般的な流れです。

医学的な診断名や障害者手帳は必ずしも利用の必須条件ではありません。ただし、診断の有無だけで自動的に利用できるわけではなく、市区町村が子どもの状態や支援の必要性などを踏まえて判断します。

利用者負担についても、子どもの年齢や世帯状況などによって扱いが異なるため、自治体の窓口で最新情報を確認してください。

言語聴覚士などがいる事業所もある

児童発達支援事業所では、児童指導員や保育士、児童発達支援管理責任者などが子どもの支援に関わります。

事業所によっては、言語聴覚士、作業療法士、理学療法士、心理職などの専門職を配置している場合もあります。

言葉や発音について専門職から支援を受けたい場合は、言語聴覚士の在籍状況や、どのような支援を行っているかを事前に確認するとよいでしょう。

子どもの状況に合わせた支援計画が作成される

児童発達支援では、子どもや家族の状況を確認したうえで、個別の児童発達支援計画を作成します。

支援は、「健康・生活」「運動・感覚」「認知・行動」「言語・コミュニケーション」「人間関係・社会性」の5領域を踏まえ、子どものニーズに応じて組み立てられます。

具体的な活動内容は事業所によって異なります。個別活動を中心とするところもあれば、遊びや集団活動を通してコミュニケーションなどを支援するところもあります。

言語訓練が必要な場合でも、すべての児童発達支援事業所で個別の言語訓練を実施しているわけではないため、見学時などに確認しましょう。

家庭での関わり方について相談できる場合もある

児童発達支援では、子ども本人への支援だけでなく、家族への支援も大切な役割の一つです。

家庭で困っていることや、子どもとの関わり方についてスタッフに相談できる事業所もあります。

保護者向けの面談や相談、家族同士の交流などの内容は事業所によって異なるため、利用を検討するときには支援内容を確認しておくとよいでしょう。

児童発達支援以外で3歳の言葉の遅れを相談できる窓口

3歳の言葉について相談できる場所は、児童発達支援だけではありません。最初から相談先を一つに決める必要はなく、利用しやすい窓口から相談してみましょう。

地域子育て支援拠点・子育て支援センター

地域の子育て支援拠点や子育て支援センターでは、乳幼児の子育てについて相談できる場合があります。

保育士や相談員などがいる施設もあり、日常の子育ての悩みを話せる身近な場所の一つです。

相談体制や利用方法は自治体や施設によって異なるため、住んでいる地域の情報を確認してください。

市区町村の保健センターなど

市区町村の保健センターなどでは、乳幼児健診や子どもの発達・子育てに関する相談を行っています。

3歳児健診は、言葉を含めた子どもの発達について相談できる大切な機会です。健診の時期以外でも、自治体によっては保健師などへ相談できる場合があります。

相談後、必要に応じて医療機関や発達支援に関する窓口を案内してもらえることもあります。

発達障害者支援センターなど

発達特性について気になることがある場合は、地域の発達障害者支援センターなどが相談先になることもあります。

発達障害者支援センターでは、発達障害のある人や家族への相談支援や情報提供などを行っています。

対象年齢や相談方法、ほかの相談機関との役割分担は地域によって異なるため、利用前に地域のセンターや自治体へ確認するとよいでしょう。

小児科・耳鼻咽喉科などの医療機関

言葉だけでなく子どもの発達全体について気になる場合は、小児科へ相談する方法があります。必要に応じて、発達を専門とする医療機関などにつないでもらえる場合があります。

呼びかけへの反応や音への反応など、聞こえについて気になる場合は耳鼻咽喉科も相談先の一つです。

どこへ相談すればよいかわからない場合は、まず3歳児健診や自治体の保健センターなどで相談先を尋ねてもよいでしょう。

まとめ|3歳の言葉の遅れが気になったら一人で判断せず相談しよう

3歳頃は言葉によるやりとりが広がっていく時期ですが、発達のペースには個人差があります。

言葉がゆっくりな背景には、言葉の理解や表現、聞こえ、発音、発達特性など、さまざまな要素が関係することがあります。保護者の育て方だけで説明できるものではありません。

家庭では、短くわかりやすく話す、子どもの興味に言葉を添える、絵本や遊びを一緒に楽しむなど、コミュニケーションしやすい環境をつくることが大切です。

3歳になっても二語文が見られない、言葉の理解や聞こえが気になる、これまで使えていた言葉が減ったなどの様子がある場合は、乳幼児健診、保健センター、小児科、耳鼻咽喉科などに相談しましょう。

児童発達支援も、子どもの状況によって利用できる選択肢の一つです。言葉の遅れだけで原因を決めつけず、必要に応じて専門家と一緒に子どもに合った関わり方や支援を考えていくことが大切です。

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