「放課後等デイサービスでは、どのような支援を受けられるの?」「わが子の特性に合った事業所を選べるか不安」と感じている保護者の方もいるのではないでしょうか。
放課後等デイサービスでは、子ども一人ひとりの状態や発達上のニーズを踏まえ、個別支援計画に基づいた支援が行われます。
本人支援の基本となるのが、「健康・生活」「運動・感覚」「認知・行動」「言語・コミュニケーション」「人間関係・社会性」の5領域です。
本記事では、放課後等デイサービスの5領域の支援内容を中心に、発達障害の特性に応じた支援例や個別支援計画、利用方法、費用についてわかりやすく解説します。
- 発達障害のある子どもが利用できる放課後等デイサービスとは
- 放課後等デイサービスの支援の基本となる5領域
- 支援内容①健康・生活|日常生活に必要な力を支える
- 支援内容②運動・感覚|身体の動きや感覚特性に合わせて支える
- 支援内容③認知・行動|理解しやすい方法や行動の工夫を支える
- 支援内容④言語・コミュニケーション|伝える・理解する力を支える
- 支援内容⑤人間関係・社会性|人との関わりや集団参加を支える
- 発達障害の特性に応じた支援の考え方
- 放課後等デイサービスでは家族への支援も行われる
- 放課後等デイサービスを利用するまでの基本的な流れ
- 放課後等デイサービスの自己負担額
- 放課後等デイサービスを選ぶときは5領域だけでなく支援内容を確認しよう
発達障害のある子どもが利用できる放課後等デイサービスとは
放課後等デイサービスは、障害のある就学児が、放課後や学校休業日に利用できる障害児通所支援です。
家庭や学校とは異なる安全・安心な生活や活動の場として、子どもの発達段階や特性、生活状況などに応じた支援が行われます。
放課後等デイサービスの基本的な仕組み
放課後等デイサービスは、児童福祉法に基づく福祉サービスです。
事業所では、日常生活に必要な力を身につけるための活動、遊びや運動、コミュニケーションの練習、集団活動、地域との交流など、さまざまな支援が行われています。
具体的な活動内容や得意とする支援は事業所によって異なります。
利用するには、市区町村による支給決定を受け、障害児通所受給者証の交付を受ける必要があります。その後、利用する事業所と契約してサービスを利用します。
利用できる対象者と年齢
放課後等デイサービスの主な対象は、学校に就学している障害のある子どもです。
発達障害、知的障害、身体障害などがあり、放課後等デイサービスによる支援の必要性について市区町村の支給決定を受けた子どもが利用します。
原則として18歳未満が対象ですが、引き続き放課後等デイサービスを利用しなければ福祉を損なうおそれがあると認められる場合には、20歳に達するまで利用できる特例があります。
また、障害者手帳の有無だけで利用の可否が決まるわけではありません。市区町村が子どもの状態や支援の必要性などを踏まえて判断し、必要に応じて医師の診断書などの提出を求める場合があります。
児童発達支援との違い
児童発達支援と放課後等デイサービスの大きな違いは、主な対象となる子どもの年齢や就学状況です。
児童発達支援は主に就学前の障害のある子どもを対象とし、放課後等デイサービスは就学後の子どもを対象としています。
小学校への入学に合わせて、児童発達支援から放課後等デイサービスへ支援の場を移すケースもあります。ただし、利用先や支援内容は子どもの状況に応じて検討することが大切です。
放課後等デイサービスの支援の基本となる5領域
放課後等デイサービスの本人支援では、以下の5領域の視点を踏まえて子どもの状態やニーズを把握し、支援内容を組み立てます。
| 領域 | 主な支援の視点 |
|---|---|
| 健康・生活 | 健康状態、生活習慣、生活リズム、基本的な生活スキルなど |
| 運動・感覚 | 姿勢や身体の動き、感覚の活用、感覚特性への環境調整など |
| 認知・行動 | 物事の理解、時間や空間の把握、認知特性に応じた行動の調整など |
| 言語・コミュニケーション | 言葉やさまざまな手段を使った意思の理解・表出、やり取りなど |
| 人間関係・社会性 | 人との関係づくり、集団への参加、ルールや社会的な行動など |
5領域は、それぞれが完全に独立しているわけではありません。
たとえば工作では、手先を使う「運動・感覚」、手順を理解する「認知・行動」、友だちと材料を共有する「人間関係・社会性」など、複数の領域が関係することがあります。
そのため、すべての子どもに同じ活動を均等に行うのではなく、5領域の視点を踏まえながら、一人ひとりのニーズに応じて支援内容を組み合わせます。
個別支援計画をもとに支援内容が決められる
放課後等デイサービスでは、利用する子どもごとに個別支援計画が作成されます。
個別支援計画では、子どもの状態や生活環境、本人や保護者の意向などを踏まえ、支援目標や具体的な支援内容を整理します。
計画作成の中心となるのが、児童発達支援管理責任者です。支援に携わる職員とも情報を共有しながら、必要な支援を検討します。
計画は一度作って終わりではありません。定期的に支援の実施状況を確認し、子どもの状態や家庭環境などに変化があれば、必要に応じて見直します。
支援内容①健康・生活|日常生活に必要な力を支える
「健康・生活」の領域では、健康状態を把握しながら、生活習慣や生活リズム、日常生活に必要なスキルなどを支援します。
身の回りのことを行うための支援
子どもの年齢や発達段階に応じて、着替え、手洗い、持ち物の管理、整理整頓などの日常生活に関する活動を行うことがあります。
たとえば、次のような支援方法があります。
- 手順を見える化する:写真やイラスト、文字などを使って行動の順番を示す
- 小さな段階に分ける:一度にすべてを求めず、取り組みやすい工程から練習する
- 必要な部分だけ手助けする:子どもが自分で取り組める部分を大切にしながら支援する
できることや必要なサポートの量は子どもによって異なるため、一律に自立を求めるのではなく、それぞれのペースに合わせて取り組むことが大切です。
生活リズムや見通しを持ちやすくする支援
毎日の流れを理解しやすくするため、事業所で過ごす時間の見通しを示すこともあります。
たとえば「到着する」「荷物を置く」「スケジュールを確認する」「活動する」「帰宅準備をする」といった流れを、子どもにわかりやすい方法で伝えます。
予定を理解しやすい環境を整えることは、子どもが安心して活動に参加するための一つの方法です。
支援内容②運動・感覚|身体の動きや感覚特性に合わせて支える
「運動・感覚」の領域では、姿勢や身体の動き、感覚の使い方などを確認しながら、子どもの状態に応じた支援を行います。
運動や遊びを取り入れた活動
事業所によっては、ボール遊び、バランスを使った遊び、ダンス、工作など、身体や手指を使った活動を取り入れています。
活動の目的は子どもによって異なります。身体の動かし方を経験する、遊びの幅を広げる、他の子どもと一緒に活動するなど、それぞれの支援目標に合わせて内容を検討します。
感覚の過敏さや鈍さへの配慮
発達障害のある子どもの中には、音、光、触感などの刺激を強く感じたり、反対に気づきにくかったりする子もいます。
その場合は、本人の感覚特性を確認しながら、音が少ない場所を用意する、照明を調整する、苦手な素材への接触を無理に求めないなどの環境調整を行うことがあります。
感覚への反応には大きな個人差があります。特定の運動や刺激を一律に行うのではなく、子どもの状態に合わせて支援方法を検討することが重要です。
支援内容③認知・行動|理解しやすい方法や行動の工夫を支える
「認知・行動」の領域では、子どもが物事をどのように理解しているかを把握し、情報を整理したり、状況に応じた行動を選びやすくしたりするための支援を行います。
見通しやルールを理解しやすくする
言葉だけの説明がわかりにくい場合には、写真、絵カード、チェック表、タイマーなどを活用することがあります。
- 1日の予定をスケジュール表で示す
- 作業手順を一つずつ見える形にする
- タイマーなどを使って活動時間をわかりやすくする
- ルールを短い文章やイラストで伝える
子どもが理解しやすい情報の伝え方を探し、環境を調整することが大切です。
学習面の困りごとへの支援
事業所によっては、宿題や学習活動を通して、子どもが取り組みやすい方法を一緒に考えることもあります。
たとえば、一度に取り組む問題数を減らす、文章を短く区切る、具体物を使って数を理解するなどの方法があります。
ただし、放課後等デイサービスは学習塾ではありません。学習支援の内容や実施状況は事業所によって異なるため、利用前に確認するとよいでしょう。
支援内容④言語・コミュニケーション|伝える・理解する力を支える
「言語・コミュニケーション」の領域では、自分の気持ちや希望を伝えたり、相手の言葉や意図を理解したりするための支援を行います。
話し言葉だけを目標とするのではなく、子どもが使いやすい方法で意思を伝えられることを大切にします。
コミュニケーションを支える具体例
- 絵カードや写真:希望や気持ちを視覚的に伝えやすくする
- 選択肢を示す:複数の選択肢から自分の希望を選べるようにする
- 絵本や言葉遊び:言葉に触れる機会を活動の中につくる
- ゲームや会話:順番や相手とのやり取りを経験する
言語聴覚士などの専門職を配置している事業所では、専門的な視点を取り入れた支援を行っている場合もあります。ただし、専門職の配置状況や支援内容は事業所ごとに異なります。
支援内容⑤人間関係・社会性|人との関わりや集団参加を支える
「人間関係・社会性」の領域では、他者との関係づくりや集団活動への参加、社会生活の中で必要となる行動などを支援します。
SSTやロールプレイを取り入れることもある
事業所によっては、ソーシャルスキルトレーニング(SST)を取り入れる場合があります。
SSTとは、人との関わりや生活の中で必要となる行動を、ロールプレイやゲームなどを通して練習する方法です。
たとえば「あいさつする」「断る」「助けを求める」「順番を待つ」といった場面について、子どもが理解しやすい方法で確認します。
ただし、すべての子どもに同じ方法が適しているわけではありません。本人の理解度や経験、困っている場面などに合わせて支援内容を考えることが大切です。
集団活動や創作活動も複数の領域に関係する
ボードゲーム、調理、工作、音楽、絵画、外出活動なども、放課後等デイサービスで行われることがある活動です。
たとえば共同制作では、相手に声をかける、道具を共有する、自分の役割を確認するなど、人間関係・社会性に関わる経験が含まれます。
また、工作で手先を使うことは「運動・感覚」、作業手順を確認することは「認知・行動」など、一つの活動が複数の領域に関係する場合があります。
創作活動そのものが公式の5領域の一つというわけではなく、子どもの支援目標に応じてさまざまな領域と関連づけて行われます。
発達障害の特性に応じた支援の考え方
発達障害といっても、困りごとや得意なこと、必要な配慮は一人ひとり異なります。
ASD、ADHD、学習障害(LD)などの診断名だけで支援方法を決めるのではなく、実際の生活や活動の中でどのような場面に困っているのかを確認することが重要です。
ASD(自閉スペクトラム症)のある子どもへの支援例
ASDのある子どもの中には、予定の変更への対応、コミュニケーション、感覚刺激などに困難を感じる子がいます。
支援例としては、次のようなものがあります。
- 予定を文字やイラストで示す
- 活動の開始や終了をわかりやすく伝える
- 音や光などの感覚刺激に配慮する
- 興味のあるものを活動への参加につなげる
- 必要に応じて休める場所を用意する
すべてのASDの子どもに同じ特徴があるわけではないため、本人の状態を確認しながら環境や関わり方を調整します。
ADHD(注意欠如・多動症)のある子どもへの支援例
ADHDのある子どもの中には、注意を持続すること、行動を切り替えること、衝動的な行動を調整することなどに難しさを感じる子がいます。
支援例としては、次のようなものがあります。
- 一度に行う課題を少なくする
- 活動時間を短く区切る
- タイマーやチェック表を使う
- 周囲の刺激を減らして集中しやすい環境をつくる
- できた行動を具体的に伝える
- 必要に応じて身体を動かしたり休憩したりする時間を設ける
行動だけを叱って抑えるのではなく、その行動が起こりやすい状況や環境を確認し、取り組みやすい方法を考えることが大切です。
学習障害(LD)のある子どもへの支援例
学習障害(LD)のある子どもでは、読む、書く、計算するなど、特定の学習場面で強い困難がみられることがあります。
支援では、苦手な方法だけを繰り返し求めるのではなく、子どもが理解しやすく取り組みやすい方法を検討します。
- 文章を読みやすい大きさや量に調整する
- 読み上げ機能などのICTを活用する
- マス目や補助線を使って書きやすくする
- 数や計算を具体物で確認する
- 課題を小さな手順に分ける
学校とも情報を共有しながら、本人が学びやすい方法を探していくことが重要です。
放課後等デイサービスでは家族への支援も行われる
放課後等デイサービスでは、本人への支援だけでなく、家族支援、移行支援、地域支援・地域連携も重要な役割とされています。
日常的な情報共有
子どもの活動内容やその日の様子について、連絡帳やアプリなどを使って家庭と情報を共有している事業所があります。
連絡方法は事業所によって異なるため、見学時などに確認しておくと安心です。
また、学校や自宅などへの送迎を実施している事業所もありますが、送迎の有無、対象地域、時間帯などは事業所ごとに異なります。
保護者からの相談や情報共有
個別支援計画の作成や見直しなどの機会に、家庭での様子や保護者の希望、困っていることなどを共有します。
事業所によっては、子どもとの関わり方についての相談、保護者向けの情報提供、保護者同士が交流する機会などを設けている場合もあります。
必要に応じて、学校、障害児相談支援事業所、医療機関、児童発達支援センターなど、関係機関と連携しながら支援を考えることもあります。
放課後等デイサービスを利用するまでの基本的な流れ
放課後等デイサービスの利用手続きは自治体によって細かな違いがありますが、一般的には次のような流れで進みます。
1.市区町村や相談支援事業所などに相談する
まずは、お住まいの市区町村の障害福祉担当窓口などに相談します。
地域によっては、障害児相談支援事業所などに利用について相談することもできます。
2.利用したい事業所を探して見学する
支援内容、子どもへの関わり方、活動内容、職員体制、送迎の有無などを確認します。
受給者証の申請前や手続き中に見学できる事業所もあります。
3.障害児通所支援の申請をする
市区町村に利用申請を行います。
自治体の案内に従って必要書類を準備し、子どもの状況や希望する支援内容などについて確認を受けます。必要に応じて医師の診断書などを求められる場合があります。
4.支給決定を受けて受給者証が交付される
市区町村による支給決定後、障害児通所受給者証が交付されます。
受給者証には、利用できるサービスの種類や支給量などが記載されます。
申請から交付までにかかる期間は、自治体や申請内容、必要書類の準備状況などによって異なります。利用を検討している場合は早めに自治体へ確認するとよいでしょう。
5.事業所と契約して利用を開始する
利用する事業所を決め、契約や利用日の調整などを行ってから利用を開始します。
見学時には支援内容だけでなく、子どもが過ごす環境や職員の関わり方、家庭との連絡方法なども確認することが大切です。
放課後等デイサービスの自己負担額
放課後等デイサービスを含む障害児通所支援では、原則としてサービス費用の1割を利用者が負担します。
ただし、世帯所得に応じた月額の負担上限が設けられているため、1割分がその上限額を超える場合には、原則として上限額を超えて負担することはありません。
| 区分 | 世帯の状況 | 負担上限月額 |
|---|---|---|
| 生活保護 | 生活保護受給世帯 | 0円 |
| 低所得 | 市町村民税非課税世帯 | 0円 |
| 一般1 | 市町村民税課税世帯のうち一定の所得以下 | 4,600円 |
| 一般2 | 上記以外 | 37,200円 |
自治体によっては独自の助成制度が設けられている場合があります。
また、おやつ代、食事代、創作活動の材料費など、サービス費とは別に実費がかかる場合があります。具体的な費用は自治体や利用する事業所に確認してください。
放課後等デイサービスを選ぶときは5領域だけでなく支援内容を確認しよう
放課後等デイサービスでは、本人支援の「健康・生活」「運動・感覚」「認知・行動」「言語・コミュニケーション」「人間関係・社会性」という5領域の視点を踏まえながら、一人ひとりに応じた支援が行われます。
ただし、同じ発達障害の診断があっても、得意なことや困っていること、必要な配慮は子どもによって異なります。
ASD、ADHD、学習障害(LD)といった診断名だけで事業所を選ぶのではなく、子どもの状態をどのように把握し、個別支援計画にどのように反映しているかを確認することが大切です。
また、活動内容、職員体制、専門職の配置、送迎、家庭との情報共有なども事業所によって異なります。
複数の事業所を比較する場合は、5領域との関連だけでなく、実際の支援方法や子どもが安心して過ごせる環境かどうかも確認しながら、家庭の希望に合った利用先を検討しましょう。

