「放課後、子どもが安心して過ごせる場所を探している」「発達特性に合った支援を受けられる事業所を知りたい」と考えている保護者の方もいるのではないでしょうか。
放課後等デイサービスでは、子どもの発達段階や特性、生活上の困りごとなどを踏まえ、一人ひとりに応じた支援が行われます。
この記事では、発達障害のある子どもが放課後等デイサービスで受けられる代表的な支援を、困りごと別に紹介します。あわせて、現在の制度で重視されている5領域や、事業所を選ぶ際のポイントについても解説します。
放課後等デイサービスとは|発達障害のある子どもへの役割
放課後等デイサービスは、就学している障害のある子どもが、授業終了後や学校の休業日に利用する障害児通所支援です。
主に小学生から高校生年代の子どもが利用しており、一定の条件を満たす場合には、満20歳に達するまで継続して利用できることもあります。
単に放課後を過ごす場所ではなく、子どもの発達や生活上のニーズを踏まえながら、本人支援、家族支援、移行支援、地域支援・地域連携などを総合的に行うことが求められています。
放課後等デイサービスの目的と背景
放課後等デイサービスは、平成24年の児童福祉法改正により、学齢期の障害のある子どもに発達支援を提供するサービスとして位置づけられました。
現在は、子どもが安全・安心に自分らしく過ごせる居場所を確保するとともに、日常生活や社会生活につながる力を育むことが重視されています。
また、家庭だけでなく、学校や地域の関係機関と連携しながら、切れ目のない支援につなげていくことも大切な役割です。
児童発達支援との違い
「児童発達支援」と「放課後等デイサービス」は、どちらも障害のある子どもの発達を支える障害児通所支援です。
一般に、児童発達支援は主に未就学の子どもが利用し、放課後等デイサービスは学校に就学している子どもが利用します。
就学前から児童発達支援を利用していた場合には、就学後の生活や支援ニーズを踏まえ、放課後等デイサービスなどの支援へつなげていくことがあります。
ADHD・ASDなどの発達特性がある子どもの利用
ADHDやASDなどの発達特性がある子どもも、必要性に応じて放課後等デイサービスを利用しています。
たとえば、ADHDの特性として、不注意や多動性、衝動性などがみられる場合があります。ASDでは、コミュニケーションや予定変更への対応、感覚の受け取り方などに特徴がみられることがあります。
ただし、同じ診断名であっても、得意なことや苦手なこと、必要な支援は一人ひとり異なります。
放課後等デイサービスでは、子ども本人や家族の意向、発達の状況、生活環境などを確認しながら個別支援計画を作成し、必要な支援を検討していきます。
放課後等デイサービスで重視される5領域
放課後等デイサービスの本人支援では、子どもの発達を次の5つの領域から捉えることが基本とされています。
- 健康・生活:生活リズム、身辺自立、健康的な生活など
- 運動・感覚:姿勢や体の動かし方、感覚特性への配慮など
- 認知・行動:物事の理解、見通し、行動の調整など
- 言語・コミュニケーション:ことばや非言語による意思伝達など
- 人間関係・社会性:人との関わりや集団参加など
これらはそれぞれ独立したものではなく、互いに関連しています。そのため、特定の領域だけを見るのではなく、子どもの状態や生活全体を踏まえて支援を組み立てることが大切です。
発達障害の困りごと別に見る放課後等デイサービスの支援内容
発達障害のある子どもの困りごとは一人ひとり異なります。
ここでは、放課後等デイサービスで行われることがある支援を、代表的な困りごと別に紹介します。実際の支援内容は、子どもの状態や個別支援計画、事業所の方針によって異なります。
コミュニケーションの苦手さへの支援
自分の気持ちや希望を言葉にすることや、相手とのやり取りに難しさを感じる子どももいます。
放課後等デイサービスでは、日々の活動や遊びを通じて、自分の気持ちを表現したり、相手の話を聞いたりする経験を重ねることがあります。
言葉だけで伝えることが難しい場合には、絵カードや写真、ホワイトボードなどを活用し、視覚的に意思を伝えやすくする方法もあります。
子どもが自分に合ったコミュニケーション方法を見つけられるよう、発達段階や特性に合わせて支援することが重要です。
集団活動に参加するための支援
複数の子どもと一緒に活動する場面で、順番を待つことやルールを理解すること、周囲のペースに合わせることなどに負担を感じる場合があります。
その場合には、少人数での活動から始めたり、活動のルールをわかりやすく示したりするなど、参加しやすい環境を整える方法があります。
集団への参加だけを目標にするのではなく、一人で落ち着いて過ごす時間も確保しながら、子どもの状態に合わせて活動を調整することが大切です。
見通しをもって行動するための支援
次に何をするのかわからない状況や、急な予定変更に不安を感じやすい子どももいます。
そのため、1日の予定を絵や文字で示したスケジュール、タイマー、ホワイトボードなどを使い、これから行うことをわかりやすく伝える支援が行われることがあります。
予定が変わる場合には、可能な範囲で事前に伝えることも有効です。
こうした視覚的な支援方法について、家庭や学校と共有しながら活用する事業所もあります。
感情の高ぶりや気持ちの切り替えへの支援
嫌なことがあったときや予定が変わったときなどに、気持ちの切り替えに時間がかかる子どももいます。
放課後等デイサービスでは、落ち着いて過ごせる場所を用意したり、感情の強さを数字やイラストで表すツールを使ったりすることがあります。
感情そのものを否定するのではなく、「どのような場面で気持ちが高ぶりやすいのか」「落ち着くために何が役立つのか」を一緒に整理していくことが重要です。
自分に合った気持ちの整え方を少しずつ見つけられるよう支援します。
学習や宿題に取り組むためのサポート
放課後等デイサービスは学習塾ではありませんが、事業所によっては宿題や学習への取り組みを支援している場合があります。
たとえば、集中しやすい環境を整える、課題を短く区切る、取り組む順番を視覚的に示すといった工夫があります。
学習内容そのものを教えるだけでなく、「わからないときに助けを求める」「一定時間取り組んだら休憩する」といった方法を身につけることも支援の一つです。
学習支援の内容や対応範囲は事業所によって異なるため、利用前に確認しておくと安心です。
放課後等デイサービスで行われる代表的な活動
放課後等デイサービスの活動内容は、事業所によって大きく異なります。
代表的なものとして、個々のニーズに合わせた支援、集団活動、SSTなどがあります。ただし、これらは制度上の正式な分類ではなく、事業所によって名称や実施方法も異なります。
個々のニーズに合わせた支援
子どもの発達段階や特性、生活上の目標などに合わせて、個別に支援内容を組み立てます。
「個別支援」といっても、必ずしもスタッフと子どもが1対1で活動するという意味ではありません。
必要に応じて1対1で取り組む場合もあれば、子どものニーズに配慮した小集団の中で支援を行う場合もあります。
事業所によっては、応用行動分析(ABA)の考え方を参考にした支援や、感覚特性に配慮した運動・遊びなどを取り入れていることもあります。
集団活動
クッキング、制作、ゲーム、運動、外出活動など、複数の子どもで取り組む活動を行う事業所もあります。
活動の中では、順番を待つ、相手の話を聞く、自分の希望を伝える、役割を分担するといった経験を積むことができます。
集団の人数やスタッフの配置、活動内容は事業所によって異なるため、見学時に実際の様子を確認することが大切です。
SSTを活用したソーシャルスキルの練習
SSTは「ソーシャルスキルトレーニング」の略で、人との関わりや日常生活で必要となる行動を、ロールプレイなどを通して練習する方法です。
たとえば、「友だちに声をかける」「断る」「助けを求める」といった場面を想定して練習することがあります。
一つの正解を覚えさせるのではなく、状況に応じたさまざまな対応方法を知り、自分に合った方法を選べるよう支援することが大切です。
子どもの自己肯定感と自立を支える視点
放課後等デイサービスでは、困りごとだけに注目するのではなく、子どもの興味や得意なことを活かす視点も大切にされています。
得意なことや好きなことを活かす
発達障害の有無にかかわらず、子どもの得意なことや興味のある分野は一人ひとり異なります。
絵を描くこと、パソコン、運動、工作、音楽など、好きな活動を取り入れることで、安心して参加しやすくなる場合があります。
できたことや工夫したことを周囲が認める経験は、自己肯定感や新しいことに挑戦する気持ちを支える一つの要素になります。
日常生活スキルを少しずつ身につける
年齢や発達段階に応じて、片づけ、着替え、身の回りの整理などの日常生活に関する支援を行う場合があります。
年齢が上がると、買い物や公共交通機関の利用など、地域で生活するための経験を取り入れる事業所もあります。
すべてを一人でできるようにすることだけが目標ではありません。必要なときに周囲へ助けを求める方法を知ることも、自立を支える大切な力です。
地域や学校とのつながりを支える
放課後等デイサービスでは、必要に応じて学校や相談支援事業所などの関係機関と連携しながら支援を行います。
家庭、学校、事業所で子どもの様子や支援方法を共有することで、生活場面が変わっても関わり方をつなげやすくなります。
情報共有を行う際には、保護者の同意など必要な手続きを踏まえながら進めることが大切です。
放課後等デイサービス選びのポイント
放課後等デイサービスは、事業所によって支援方針、活動内容、職員体制、雰囲気などが異なります。
子ども本人の気持ちを尊重しながら、支援内容や安全面、通いやすさなどを総合的に確認することが大切です。
子どもの困りごとに合った支援内容を確認する
まず確認したいのは、子どもの困りごとや目標に対して、どのような支援を行っているかです。
見通しを持つことが難しい場合にはどのような工夫をしているのか、集団活動が負担になりやすい場合にはどのように対応するのかなど、具体的な場面を想定して確認すると比較しやすくなります。
5領域を踏まえた支援プログラムを確認する
放課後等デイサービスでは、5領域との関連性を明確にした支援プログラムを作成し、公表することが求められています。
事業所のホームページなどで支援プログラムを確認すると、どのような考え方で活動を行っているのかを知る手がかりになります。
特定の活動だけでなく、子どもの発達や生活全体をどのように捉えているかを確認してみるとよいでしょう。
スタッフの専門性と関わり方を確認する
児童発達支援管理責任者をはじめ、児童指導員や保育士などの職員がどのように配置されているかを確認することも大切です。
事業所によっては、作業療法士、理学療法士、言語聴覚士、公認心理師などの専門職が配置されている場合もあります。
資格や職種だけで判断するのではなく、子どもの話をどのように聞いているか、無理に活動へ参加させていないかなど、実際の関わり方も確認しましょう。
保護者への情報共有や相談体制を確認する
利用中の子どもの様子を、どのような方法で家庭へ伝えているかも確認しておきたいポイントです。
連絡帳、アプリ、口頭での説明、定期面談など、情報共有の方法や頻度は事業所によって異なります。
家庭で困っていることを相談できる機会や、必要に応じて関係機関と連携する体制があるかも確認するとよいでしょう。
子ども本人の気持ちも大切にする
事業所を選ぶ際には、保護者の希望だけでなく、子ども本人がどのように感じているかを確認することも大切です。
見学や体験利用ができる場合には、活動中の表情やスタッフとの関わり、過ごしやすそうな環境かどうかを確認できます。
ただし、「楽しい」「通いたい」という気持ちだけで決めるのではなく、安全面、支援内容、通所による負担、家庭の状況なども含めて総合的に判断することが重要です。
まとめ|発達障害のある子どもに合った放課後等デイサービスを考える
放課後等デイサービスでは、発達障害の診断名だけで支援内容を決めるのではなく、子どもの発達段階や生活上の困りごと、本人や家族の意向などを踏まえて支援を組み立てます。
代表的な支援として、コミュニケーション、集団参加、見通し、気持ちの切り替え、学習への取り組みなどに関するサポートがあります。
また、現在の制度では、「健康・生活」「運動・感覚」「認知・行動」「言語・コミュニケーション」「人間関係・社会性」の5領域を踏まえ、総合的に支援することが重視されています。
事業所を選ぶ際には、子どもの困りごとに合った支援があるか、5領域を踏まえた支援プログラムになっているか、スタッフの関わり方や情報共有の体制はどうかなどを確認することが大切です。
子ども本人の気持ちも尊重しながら、安心して過ごせる環境と必要な支援の両方を確認し、その子に合った事業所を検討していきましょう。

