3歳児健診で「言葉の遅れ」を指摘されると、「発達に問題があるのでは」「どこに相談すればいいのだろう」と不安になることがあります。
ただし、3歳児健診で言葉の遅れを指摘されたからといって、発達障害などの診断が確定したわけではありません。健診は子どもの発育や発達の状況を確認し、必要に応じて詳しい相談や検査につなげる機会です。
この記事では、3歳ごろの言葉の発達の目安や相談先、専門機関での確認、児童発達支援、家庭でできる関わり方について解説します。
3歳児健診で言葉の遅れを指摘されたときに知っておきたいこと
健診で指摘を受けても、その場だけで原因や診断が決まるわけではありません。まずは、家庭や園での様子も含めて子どもの発達を確認していくことが大切です。
健診での指摘だけで発達障害と決まるわけではない
3歳児健診では、身体の発育だけでなく、言葉やコミュニケーション、生活面など子どもの発達状況も確認します。
そこで「言葉が少ない」「会話のやりとりが難しい」といった様子が確認された場合、経過観察や専門機関への相談を案内されることがあります。
ただし、健診は診断を確定する場ではありません。言葉の発達には個人差があり、背景も一人ひとり異なるため、必要に応じて専門家が詳しく確認します。
「要観察」と言われたら、その後の確認につなげる
「要観察」と言われると不安になるかもしれませんが、すぐに特定の障害や病気を意味するものではありません。
大切なのは、健診でどのような点を指摘されたのかを確認し、その後の相談先や再確認の時期について案内を受けることです。わからないことがあれば、健診を担当した保健師や自治体の相談窓口に確認してみましょう。
3歳児の言葉の発達はどのくらいが目安?
3歳ごろになると、言葉を使ったやりとりが少しずつ広がっていきます。ただし、発達のペースには個人差があるため、一つの項目だけで遅れの有無を判断することはできません。
3歳ごろに見られる言葉やコミュニケーションの例
3歳前後では、次のような姿が見られるようになることがあります。
- 短い会話を何度かやりとりする
- 「なに?」「どこ?」「どうして?」などの質問をする
- 自分の名前を答える
- 身近な出来事や要求を言葉で伝える
- 大人の簡単な話や指示を理解する
- 家族以外の人にも話している内容が伝わることが増える
これらはあくまで発達を見る際の目安です。当てはまらない項目があるからといって、それだけで発達上の問題があるとは判断できません。
言葉について相談を検討したいサイン
次のような様子が続いていて気になる場合は、健診担当者や小児科などに相談してみるとよいでしょう。
- 話す言葉が非常に少なく、言葉でのやりとりがほとんどない
- 簡単な言葉や指示が伝わりにくい様子がある
- 呼びかけへの反応が少なく、聞こえ方が気になる
- 言葉やジェスチャーで要求を伝えることが難しい
- 以前使っていた言葉が減った、または使わなくなった
- 家庭や園でコミュニケーションについて心配が続いている
言葉だけを見るのではなく、理解の様子、聞こえ、遊び方、人とのやりとりなどを含めて確認することが大切です。
3歳児の言葉の遅れにはどのような背景が考えられる?
言葉の発達がゆっくりに見える背景は一つではありません。聴力、言葉そのものの発達、発達特性など、さまざまな可能性があります。
聞こえや発音に関する要因
子どもは周囲の音や言葉を聞きながら、少しずつ言葉を身につけていきます。そのため、聞こえにくさがある場合には言葉の発達に影響することがあります。
たとえば、呼びかけへの反応が少ない、テレビの音を大きくしたがる、聞き返すことが多いなど、聞こえについて気になることがあれば耳鼻咽喉科への相談も検討できます。
また、言葉は理解できていても発音が不明瞭な場合など、発音や発話の面を詳しく確認したほうがよいケースもあります。
言語発達や発達特性が関係する場合
聞こえに大きな問題がなくても、言葉の理解や表現そのものの発達がゆっくりな場合があります。また、自閉スペクトラム症などの発達特性に、言葉やコミュニケーションの特徴が伴う場合もあります。
一方で、言葉が遅いという一つの特徴だけから、特定の発達障害を判断することはできません。
子どもの生活環境やスクリーンの利用時間などについても確認されることがありますが、それだけを言葉の遅れの原因と決めつけることはできません。原因探しよりも、現在の子どもの様子を整理し、必要な支援を考えることが大切です。
言葉の遅れを指摘されたあとの相談先
3歳児健診で言葉について指摘された場合、状況に応じて複数の相談先があります。最初から専門医を受診しなければならないわけではありません。
市区町村の保健センターや子育て相談窓口
まず確認しやすいのが、3歳児健診を実施した自治体の保健センターや子育て相談窓口です。
健診結果や家庭で気になっていることを伝えると、今後の経過確認や地域の相談機関について案内してもらえる場合があります。
自治体によって相談方法や利用できる機関は異なるため、健診時に渡された案内や自治体のウェブサイトも確認してみましょう。
かかりつけの小児科
かかりつけの小児科にも相談できます。健診で指摘された内容や家庭・保育園などでの様子を伝え、必要に応じて専門医療機関への相談について判断してもらいます。
相談するときは、「どのくらい言葉が出ているか」だけでなく、「こちらの話をどの程度理解しているか」「どのように要求を伝えるか」なども伝えると状況を共有しやすくなります。
聞こえが気になる場合は耳鼻咽喉科
言葉の発達を確認するときは、聞こえの状態も重要です。
呼びかけへの反応が少ない、音への反応にばらつきがあるなど、聞こえについて気になることがあれば、耳鼻咽喉科で相談する方法もあります。
発達を専門とする医療機関
必要に応じて、発達外来、小児神経科、児童精神科などの専門医療機関につながることがあります。
受診先や予約方法は地域によって異なり、紹介状が必要な医療機関もあります。予約まで時間がかかる地域もあるため、受診を勧められた場合は早めに確認するとよいでしょう。
言語聴覚士などの専門職
言語聴覚士は、言葉、コミュニケーション、発音、聞こえなどに関わる専門職です。
病院、児童発達支援センター、療育機関などに在籍している場合があります。ただし、利用方法や紹介の必要性は施設によって異なるため、自治体や医療機関に確認してください。
専門機関へ相談するときの流れ
地域や子どもの状況によって流れは異なりますが、一般的には現在の様子を整理し、必要な機関につないでもらいます。
まず健診結果と相談先を確認する
3歳児健診で指摘された場合は、健診を担当した保健師などに、どの点が気になったのかを確認しておきましょう。
そのうえで、経過観察、自治体での発達相談、小児科や専門医療機関への受診など、案内された方法を検討します。
相談前に子どもの様子を整理する
相談時には、普段の様子を簡単にまとめておくと伝えやすくなります。
- 普段よく使う言葉や文
- どの程度会話のやりとりができるか
- 大人の話をどの程度理解しているか
- 呼びかけや音への反応
- 指さしやジェスチャーの様子
- 家庭や園で困っている場面
- 3歳児健診で指摘された内容
母子健康手帳や健診結果なども、必要に応じて持参するとよいでしょう。
医療機関では必要に応じて診察や検査を行う
専門医療機関では、保護者から発達歴や日常の様子を聞き、子どもの行動やコミュニケーションの様子を確認します。
必要に応じて、発達検査や知能検査、言語・コミュニケーションの評価、聴力に関する確認などが行われることもあります。
新版K式発達検査や田中ビネー知能検査などが使用される場合もありますが、実施する検査は年齢や相談内容、医療機関によって異なります。特定の検査だけで診断が決まるわけではありません。
相談や診断までにかかる期間は地域によって異なる
自治体の発達相談や専門医療機関の予約状況には地域差があります。
初回相談から必要な評価が終わるまでの期間も、子どもの状態や検査内容によって異なります。受診を勧められた場合は、予約方法や待機期間を早めに確認しておくと安心です。
専門医療機関の受診を待っている間も、自治体の相談窓口や園などと情報を共有しながら、現在できる対応について相談できます。
診断がなくても児童発達支援を利用できる?
児童発達支援を利用するために、医学的な診断名や障害者手帳が必ず必要とは限りません。
ただし、希望すれば誰でも利用できるわけではなく、市区町村が支援の必要性を確認し、障害児通所支援の支給決定を行う必要があります。
児童発達支援の対象と利用条件
児童発達支援は、主に小学校就学前の、発達上の支援を必要とする子どもが利用する障害児通所支援です。
利用には市区町村への申請と支給決定が必要で、決定後に交付される通所受給者証を使って事業所と契約します。
診断書や意見書など、申請時に求められる書類は自治体や子どもの状況によって異なることがあります。「診断がないから利用できない」と自己判断せず、まず自治体の障害児支援担当窓口などに確認するとよいでしょう。
児童発達支援ではどのような支援を行う?
児童発達支援では、一人ひとりの発達段階や特性、生活上のニーズなどを確認しながら支援計画を作成します。
本人への支援は、主に次の5領域を踏まえて総合的に考えます。
- 健康・生活:生活リズムや基本的な生活動作など
- 運動・感覚:身体の動きや感覚への対応など
- 認知・行動:物事の理解や行動の調整など
- 言語・コミュニケーション:言葉や意思の伝達など
- 人間関係・社会性:人との関わりや集団参加など
実際の活動内容や支援方法は事業所によって異なります。言葉だけを訓練するのではなく、生活や遊び、人との関わりを含めて総合的に支援することが基本です。
児童発達支援を利用するまでの流れ
一般的には、次のような流れで進みます。
- 市区町村の障害児支援担当窓口などに相談する
- 必要書類を確認して申請する
- 市区町村による支給決定を受ける
- 通所受給者証の交付を受ける
- 利用する事業所を選び、契約する
- 個別の支援計画に基づいて利用を開始する
手続きや必要書類、支給決定までの期間は自治体によって異なります。申請前に自治体の窓口で確認してください。
早めに相談することにはどのような意味がある?
言葉の発達について気になることがあるとき、早めに相談する目的は、すぐに診断をつけることだけではありません。
子どもの現在の得意なことや苦手なことを整理し、家庭や園でどのような関わり方が合っているのかを考える機会にもなります。
子どもの状態に合った対応を考えやすくなる
専門家に相談すると、言葉の表出だけでなく、言葉の理解、聞こえ、人とのやりとり、遊び方などを含めて確認してもらえる場合があります。
その結果、経過を見守るのか、聴力などを詳しく確認するのか、発達支援を検討するのかなど、次に何をすればよいか整理しやすくなります。
診断の有無にかかわらず相談できる場所がある
相談したからといって、必ず診断や療育につながるわけではありません。
「少し気になる」「園でも言葉について指摘された」といった段階でも、自治体の保健師やかかりつけ医などに相談できます。
必要な支援や対応は一人ひとり異なるため、子どもの様子に合わせて検討していくことが大切です。
家庭でできる言葉やコミュニケーションへの関わり方
家庭では、言葉を無理に言わせたり、繰り返し練習させたりする必要はありません。
子どもが興味を持っていることに大人が言葉を添えるなど、日常の中でやりとりを楽しめる環境をつくることがポイントです。
日常の会話で意識したいポイント
- 子どもの興味に合わせる:子どもが見ているものや遊んでいるものについて言葉を添えます
- 短くわかりやすく話す:子どもが理解しやすい長さの言葉を意識します
- 子どもの言葉を受け止める:「ワンワン」と言ったら「ワンワンいたね」など、自然に言葉を広げます
- 答えを求めすぎない:質問を続けるだけでなく、大人が感じたことや見えたものを言葉にします
- 言葉以外の伝え方も受け止める:指さしや表情、ジェスチャーも大切なコミュニケーションです
言葉を正しく言わせることよりも、「伝えたらわかってもらえた」というやりとりを重ねることを大切にしましょう。
遊びの中でコミュニケーションの機会を増やす
特別な教材を用意しなくても、普段の遊びの中で言葉やコミュニケーションに触れる機会をつくれます。
- 絵本:絵を見ながら名前を言ったり、子どもの反応に合わせて話したりする
- ごっこ遊び:「どうぞ」「いただきます」などのやりとりを楽しむ
- 歌や手遊び:言葉と動きを一緒に楽しむ
- 指さしや絵さがし:見つけたものを一緒に確認する
大切なのは、子どもが楽しめる範囲で行うことです。言葉を言わせることを目的にしすぎず、親子でやりとりする時間として取り入れてみましょう。
テレビや動画、スマートフォンなどを利用する場合も、画面を一方的に見せるだけでなく、ときどき大人が一緒に見て話しかけたり、画面以外の遊びや会話の時間も確保したりするとよいでしょう。
3歳児健診で言葉の遅れを指摘されたら、まず相談先を確認しよう
3歳児健診で言葉の遅れを指摘されても、それだけで発達障害などの診断が決まるわけではありません。
まずは健診でどのような点を指摘されたのかを確認し、市区町村の保健センターや子育て相談窓口、かかりつけの小児科などに相談してみましょう。聞こえが気になる場合は、耳鼻咽喉科への相談も選択肢になります。
必要に応じて専門医療機関や言語聴覚士などにつながるほか、市区町村が支援の必要性を認めた場合には、診断名や障害者手帳がなくても児童発達支援を利用できる場合があります。
言葉の発達には個人差があります。家庭だけで判断せず、気になる状態が続く場合は専門家と一緒に子どもの現在の様子を確認し、その子に合った関わり方や支援を考えていくことが大切です。

