発達障害で仕事が続かない理由は?対処法と働き方の選択肢

児童発達支援

「また仕事を辞めてしまった」「次こそは続けようと思っていたのに」と、自分を責めている方もいるのではないでしょうか。

発達障害のある方が仕事を続けにくいと感じる背景には、本人の意欲だけでは説明できない要因があります。仕事内容や職場環境との相性、指示の受け方、人間関係、感覚への負担、体調や生活リズムなどが影響している場合もあります。

この記事では、発達障害のある方が仕事を続けにくいと感じる理由、負担を減らす工夫、合理的配慮、就労支援サービスなどの選択肢を整理します。

発達障害のある方が仕事を続けにくいと感じる理由

仕事内容や職場環境と特性が合っていない

仕事が続かなかったとき、自分の能力や努力だけに原因を求めてしまう方もいます。しかし、仕事の進め方や職場環境と、本人の特性が合っていなかった可能性もあります。

発達障害の特性や困りごとの現れ方は一人ひとり異なります。同じADHD(注意欠如多動症)やASD(自閉スペクトラム症)の診断を受けていても、得意な作業、苦手な状況、必要な配慮は同じではありません。

一つの職場でうまく働けなかったからといって、すべての仕事に向いていないとは限りません。どの業務や環境が負担になっていたのかを整理することが、次の仕事を選ぶ手がかりになります。

ミスが起こりやすい仕事の進め方になっている

複数の業務を同時に任される、口頭だけで長い指示を受ける、優先順位が頻繁に変わるといった環境では、確認漏れや作業の抜けが起こりやすくなる方がいます。

注意しようとするだけでは負担が増え、焦りからミスが重なることもあります。そのため、本人の努力だけに頼らず、ミスが起こりにくい仕組みを作ることが重要です。

  • 作業手順をチェックリストにする
  • 口頭の指示をメモやチャットでも共有してもらう
  • 一度に受ける指示を一つずつにする
  • 作業を終えた後の確認方法を決める
  • 締め切りや優先順位を見える形にする

どの方法が役立つかには個人差があるため、自分に合う方法を試しながら調整することが大切です。

職場の人間関係やコミュニケーションで消耗する

職場では、言葉にされていないルールを読み取る、相手の意図を推測する、複数人の会話に参加するといった対応を求められることがあります。

こうしたやり取りに大きなエネルギーを使う方は、仕事の内容よりも人間関係で疲れてしまう場合があります。また、「相手を怒らせたかもしれない」「感じが悪いと思われたかもしれない」と考え続けることで、仕事に集中しにくくなることもあります。

質問する相手を決める、連絡方法を統一する、指示を具体的にしてもらうなど、コミュニケーションの方法を調整することで負担を減らせる場合があります。

音や光などの感覚刺激が負担になっている

照明の明るさ、周囲の話し声、機械音、におい、室温などの刺激に敏感な方は、職場にいるだけで疲労が積み重なる場合があります。

可能であれば、席の位置を変える、静かな場所で休憩する、業務に支障がない範囲で耳栓やイヤーマフを使うなどの方法を職場と相談します。

職場によって対応できる範囲は異なるため、本人の希望だけで決まるものではありません。仕事への影響や安全面も含めて、職場と話し合う必要があります。

睡眠や体調の問題が影響している

発達障害のある方の中には、睡眠の問題や疲れやすさを抱える方もいます。ただし、強い疲労、日中の眠気、意欲の低下、不安、気分の落ち込みなどには、発達特性以外の心身の状態や服薬が関係していることもあります。

睡眠や体調の問題が長く続いている場合や、仕事や日常生活に大きな支障が出ている場合は、自己判断だけで対処せず、医療機関に相談することも検討してください。

仕事が続かないときに整理したい5つのポイント

1.辞めた理由を具体的に書き出す

「自分には仕事ができない」とまとめるのではなく、負担になった場面を具体的に整理します。

  • どの業務でミスが起きやすかったか
  • どの時間帯に疲れやすかったか
  • どのような指示が分かりにくかったか
  • どのような人間関係が負担だったか
  • 音や光などで困ったことがあったか

具体的な状況を整理すると、次の職場で避けたい条件や、必要な配慮が見えやすくなります。

2.得意な作業と苦手な作業を分ける

診断名だけで向いている仕事を決めることはできません。実際に経験した作業を振り返り、取り組みやすかった作業と、負担が大きかった作業を分けて考えます。

例えば、手順が決まった作業は取り組みやすい一方で、急な変更が多い仕事は負担になるなど、人によって続きやすい条件は異なります。

3.ミスを防ぐ仕組みを考える

ミスを完全になくそうとするのではなく、確認しやすい仕組みを作ります。

メモ、チェックリスト、タイマー、予定表、タスク管理ツールなどを活用し、作業を頭の中だけで管理しない方法を検討しましょう。

4.勤務時間や勤務方法を見直す

フルタイムや週5日勤務が負担になっている場合は、短時間勤務、勤務日数の調整、時差出勤、在宅勤務などを検討できることがあります。

ただし、利用できる制度や勤務形態は職場によって異なります。求人を選ぶ段階で勤務条件を確認し、必要に応じて支援機関にも相談しましょう。

5.一人で判断せず支援機関を利用する

仕事の経験を一人で整理することが難しい場合は、就労支援機関で職業評価や相談を受ける方法があります。

支援者と一緒に、得意なこと、苦手なこと、必要な配慮、希望する働き方を整理することで、次の職場を選ぶ基準を作りやすくなります。

職場で相談できる合理的配慮とは

雇用分野では、障害者雇用促進法に基づき、事業主は過重な負担にならない範囲で、障害のある方に合理的配慮を提供することが義務付けられています。

合理的配慮とは、障害特性によって仕事をするうえで生じている支障を減らすために、本人と事業主が話し合って決める個別の対応です。

例えば、次のような配慮が考えられます。

  • 口頭だけでなく、文字でも指示を伝えてもらう
  • 作業手順や優先順位を明確にしてもらう
  • 一度に複数の指示を出さないようにしてもらう
  • 質問や報告をする相手を決めてもらう
  • 体調や通院を踏まえて勤務時間や休憩を相談する
  • 可能な範囲で席や作業場所を調整してもらう

合理的配慮は、希望した内容が必ずそのまま認められる制度ではありません。本人の困りごとや希望を確認し、職場の業務内容、安全性、費用、企業規模なども踏まえて話し合います。

自分から説明することが難しい場合は、地域障害者職業センター、障害者就業・生活支援センター、就労支援事業所などの担当者に、伝え方や職場との調整について相談できる場合があります。

発達障害のある方が検討できる働き方と就労支援

一般枠での就労

障害者雇用枠ではない一般の求人に応募する働き方です。一般枠で働くことと、障害や診断を職場に伝えるかどうかは別の問題であり、一般枠でも必要に応じて職場へ伝えることはできます。

合理的配慮を希望する場合は、必要な範囲で障害特性や仕事上の困りごとを伝え、職場と相談する必要があります。ただし、求人の選択肢や職場の対応は企業によって異なります。

障害者雇用

障害者雇用の求人では、障害の状況や必要な配慮を職場と共有したうえで働くことが基本です。

仕事内容、勤務時間、職場の支援体制は企業によって異なります。障害者雇用であってもすべての希望が認められるとは限らないため、応募前や面接時に条件を確認することが大切です。

就労移行支援

就労移行支援は、一般企業への就職を希望し、就職が見込まれる障害のある方に対して、就労に必要な知識や能力を身につけるための訓練、就職活動、職場定着などを支援する障害福祉サービスです。

職業訓練や実習を通して、得意な作業、苦手な環境、必要な配慮を整理できる場合があります。利用には市区町村の支給決定が必要です。

就労継続支援A型

就労継続支援A型は、一般企業に雇用されることが難しいものの、支援があれば雇用契約に基づいて働くことができる方を対象とする障害福祉サービスです。

利用者と事業所が雇用契約を結び、労働の対価として賃金が支払われます。最低賃金は原則として適用されますが、都道府県労働局長から個別に減額特例の許可を受けている場合は例外があります。

仕事内容、労働時間、賃金、支援内容は事業所によって異なるため、求人票や雇用契約の内容を確認することが大切です。

就労継続支援B型

就労継続支援B型は、一般企業への雇用や雇用契約に基づく就労が難しい方に、就労や生産活動の機会を提供する障害福祉サービスです。

B型では事業所と雇用契約を結ばず、生産活動の対価として工賃が支払われます。工賃は労働契約に基づく賃金とは異なるため、最低賃金の適用対象ではありません。

利用日数、利用時間、作業内容、工賃、支援体制は事業所によって異なります。本人の体調や希望だけで自由に決められるとは限らず、個別支援計画や市区町村の支給決定、事業所の受け入れ体制などを踏まえて調整されます。

就労選択支援

就労選択支援は、本人が就労先や働き方を選びやすくするため、短期間の作業などを通して、希望、得意なこと、就労能力、適性、必要な配慮などを整理する障害福祉サービスです。

2025年10月以降、就労継続支援B型を新たに利用する一部の方は、原則として利用申請前に就労選択支援を利用する取り扱いになっています。ただし、年齢や就労経験などによる例外があります。

利用の要否や地域の実施状況については、市区町村の障害福祉窓口や相談支援事業所に確認してください。

A型・B型は一般就労への通過点とは限らない

就労継続支援A型・B型を利用する目的は人によって異なります。一般就労を目指すために利用する方もいれば、現在の体調や特性に合った働き方として利用する方もいます。

A型・B型には、すべての利用者が一般就労を目指さなければならないという一律の決まりはありません。一方で、利用を続けるには、本人の状態や支援の必要性を踏まえた市区町村の支給決定が必要です。

一般就労に移ることだけを唯一の目標とせず、本人が希望する生活や働き方に合っているかを支援者と確認することが大切です。

仕事について相談できる主な窓口

仕事が続かない理由や、利用できる支援を一人で整理することが難しい場合は、次のような窓口に相談できます。

  • 発達障害者支援センター:発達障害や発達特性に関する生活・就労上の相談や情報提供を行います。
  • 地域障害者職業センター:職業評価、職業準備支援、職場適応援助者による支援などを行います。
  • 障害者就業・生活支援センター:仕事と生活の両面について、関係機関と連携しながら相談や支援を行います。
  • ハローワークの専門窓口:就職相談、求人紹介、就職後の支援機関との連携などを行います。
  • 市区町村の障害福祉窓口や相談支援事業所:利用できる障害福祉サービスや申請手続きについて相談できます。
  • 医療機関:診断や治療について相談したい場合や、睡眠、気分、体調の問題が続いている場合の相談先です。

発達障害の診断を受けていない段階でも相談できる窓口はありますが、対象地域、年齢、相談内容、予約方法は機関によって異なります。利用前に各窓口へ確認してください。

また、相談を受けることと、障害福祉サービスを利用することは異なります。就労移行支援や就労継続支援A型・B型などを利用する場合は、原則として市区町村への申請と支給決定が必要です。

就職後に利用できる定着支援

就職後に仕事上や生活上の問題が生じた場合は、以前利用していた就労支援事業所、障害者就業・生活支援センター、地域障害者職業センターなどに相談できる場合があります。

就労定着支援は、就労移行支援や就労継続支援などを利用した後、一般企業に新たに雇用された方を主な対象とする障害福祉サービスです。原則として、就職後6か月を経過してから利用が始まります。

利用対象、利用開始時期、利用期間には条件があるため、一般就労している方全員が利用できるわけではありません。利用を希望する場合は、市区町村や利用していた就労支援事業所に確認してください。

まとめ

発達障害のある方が仕事を続けにくいと感じる背景には、仕事内容との相性、指示の分かりにくさ、人間関係での消耗、感覚への負担、睡眠や体調など、複数の要因が関係している場合があります。

仕事が続かなかった経験を、自分の能力や努力不足だけで判断する必要はありません。どのような場面で困ったのか、どのような条件なら取り組みやすかったのかを具体的に整理することが、次の仕事や支援を選ぶ手がかりになります。

働き方には、一般枠での就労、障害者雇用、短時間勤務、就労移行支援、就労継続支援A型・B型などの選択肢があります。2025年10月からは、本人に合った就労先や働き方を整理する就労選択支援も始まっています。

自分だけで整理することが難しいときは、発達障害者支援センター、地域障害者職業センター、障害者就業・生活支援センター、市区町村の障害福祉窓口などに相談し、現在の状態や希望に合った方法を検討することが大切です。

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