「仕事と送迎の時間が重なり、毎日の送り迎えが難しい」「学校から事業所まで送迎してもらえる施設を探したい」と考えている保護者の方もいるでしょう。
放課後等デイサービスのなかには、学校から事業所、事業所から自宅などへの送迎を行っているところがあります。送迎を利用できれば、保護者の送り迎えの負担を軽減できる場合があります。
ただし、放課後等デイサービスは、保護者の就労中に子どもを預かることを主な目的としたサービスではありません。学校等に就学し、授業終了後や休業日に支援が必要と認められた障害のある子どもに、生活能力の向上や社会との交流などに必要な支援を行う障害児通所支援です。
共働きであること自体が利用条件になるわけではなく、利用には市区町村による支給決定が必要です。
本記事では、送迎ありの放課後等デイサービスの仕組み、費用、利用開始までの流れ、安全面を含めた選び方をわかりやすく解説します。
放課後等デイサービスの送迎サービスとは
放課後等デイサービスは、学齢期の障害のある子どもに対して、授業終了後や学校の休業日に必要な支援を行うサービスです。
支援内容は事業所によって異なりますが、子どもの状態や発達上のニーズに応じ、日常生活やコミュニケーション、社会との関わりなどに関する支援が行われます。
そのなかで送迎を実施している事業所では、学校から事業所への迎えや、利用終了後の自宅への送りなどに対応している場合があります。
ただし、すべての放課後等デイサービスが送迎を行っているわけではありません。送迎エリア、対象となる学校、利用できる曜日や時間、帰宅時の引き渡し方法なども事業所によって異なります。
送迎を重視して施設を探す場合は、単に「送迎あり」と記載されているかだけでなく、自宅や学校が実際の送迎範囲に含まれているかまで確認することが大切です。
送迎ありの放課後等デイサービスを利用するメリット
送迎サービスは、仕事や家庭の事情によって毎日の送り迎えが難しい家庭にとって、通所を続けるための選択肢のひとつになります。
保護者の送り迎えの負担を減らせる場合がある
学校から事業所への迎えや、事業所から自宅への送りに対応している場合、保護者が毎回学校や事業所まで移動する必要がなくなることがあります。
特に勤務時間と下校時間が重なる家庭では、送迎の有無が事業所を選ぶ際の重要な確認項目になるでしょう。
一方で、送迎終了時に保護者や指定された家族への引き渡しが必要な事業所もあります。送迎があるからといって、保護者の帰宅時間まで必ず預かってもらえるとは限りません。
営業時間、延長支援の有無、帰宅時の引き渡し方法についてもあわせて確認しましょう。
通所の予定を立てやすくなることがある
学校から事業所まで送迎してもらえる場合、保護者の送迎予定を毎回調整する必要が少なくなり、利用日の予定を立てやすくなることがあります。
ただし、利用する曜日や日数は、子どもの状態、支給決定の内容、個別支援計画、事業所の空き状況などを踏まえて決まります。
送迎の便利さだけで利用頻度を決めるのではなく、子どもの負担や家庭での生活とのバランスも考えることが大切です。
送迎してもらえる場所と時間帯を確認しよう
送迎を利用する場合は、「どこからどこまで送迎してもらえるのか」「何時ごろになるのか」を事前に確認しておきましょう。
送迎ルートは、その日の利用人数や学校の下校時刻などによって変わる場合があります。
自宅や学校への送迎が中心
放課後等デイサービスでは、一般的に次のような送迎が検討されます。
- 学校から放課後等デイサービス事業所への送迎
- 自宅から放課後等デイサービス事業所への送迎
- 放課後等デイサービス事業所から自宅への送迎
実際に対応できる場所は、事業所の送迎エリアや運営体制によって異なります。
学校や自宅以外の場所を希望する場合も、事業所によって対応の可否が異なるため、事前確認が必要です。
また、学校側にも放課後等デイサービスへの引き渡し方法や送迎車両の待機場所などのルールが設けられている場合があります。
送迎時間は事業所や利用状況によって変わる
学校から事業所への迎えは下校時刻に合わせて行われ、利用終了後に自宅などへ送るのが基本的な流れです。
ただし、具体的な時刻は学校の終了時間、事業所の営業時間、送迎ルート、利用人数、自宅までの距離などによって異なります。
複数の子どもが同じ車両に乗る場合は、送迎する順番によって到着時刻が前後することもあります。
「毎日何時までに帰宅できるか」を重視する場合は、送迎の予定時刻だけでなく、どの程度前後する可能性があるかも確認しておくと安心です。
放課後等デイサービスの送迎にかかる費用
放課後等デイサービスの送迎について調べると、「送迎加算」という言葉を目にすることがあります。
送迎加算とは、一定の要件を満たして送迎を行った場合に、事業所が算定できる報酬上の加算です。
そのため、「送迎加算がある施設なら送迎費が必ず無料」と考えるのではなく、放課後等デイサービス全体の利用者負担の仕組みとあわせて理解することが大切です。
サービス費の自己負担は原則1割
放課後等デイサービスを含む障害児通所支援では、サービス費の利用者負担は原則として1割です。
ただし、世帯の所得に応じて1か月あたりの負担上限月額が設定されています。
| 世帯の区分 | 負担上限月額 |
|---|---|
| 生活保護受給世帯 | 0円 |
| 市町村民税非課税世帯 | 0円 |
| 市町村民税課税世帯で所得割28万円未満 | 4,600円 |
| 上記以外 | 37,200円 |
実際の自己負担額は、利用したサービス量と負担上限月額によって決まります。
なお、この負担上限は障害児通所支援のサービス費に対するものです。おやつ代、教材費、行事費などの実費が別途必要になる事業所もあります。
送迎に関する費用は契約前に確認する
送迎を行っている事業所では、送迎加算を算定している場合があります。
一方で、保護者が支払う費用については、事業所の重要事項説明書や料金案内を確認することが大切です。
送迎について別途費用の説明がある場合は、どのような場合に、いくら必要になるのかを契約前に確認しておきましょう。
「送迎あり」という表示だけで判断せず、サービス費、実費、送迎に関する取り扱いをまとめて確認すると、利用後の認識違いを防ぎやすくなります。
送迎ありの放課後等デイサービスを利用するまでの流れ
放課後等デイサービスを利用するには、市区町村による障害児通所支援の支給決定を受け、通所受給者証の交付を受ける必要があります。
自治体によって手続きの案内や必要書類が異なるため、実際に申請するときは、お住まいの市区町村の担当窓口で確認してください。
1.市区町村の担当窓口に相談・申請する
まず、お住まいの市区町村で障害児通所支援を担当する窓口に相談します。
放課後等デイサービスを利用したいことを伝え、必要な申請書類や手続きについて確認しましょう。
利用の可否は、共働きかどうかだけで決まるものではありません。子どもの状態や生活環境、支援の必要性などを踏まえて市区町村が判断します。
2.障害児支援利用計画案を準備する
支給申請後、市区町村から障害児支援利用計画案の提出を求められます。
障害児支援利用計画案は、子どもや家族の希望、必要な支援、利用するサービスなどを整理する計画案です。
指定障害児相談支援事業所に作成を依頼する方法があります。状況によっては、保護者などが作成するセルフプランが認められる場合もあります。
3.面接や調査を受ける
市区町村は、子どもや保護者と面接し、子どもの心身の状態、生活環境、サービス利用についての意向などを確認します。
必要な確認方法や提出書類は自治体や子どもの状況によって異なります。
4.支給決定を受けて通所受給者証が交付される
申請内容、調査結果、障害児支援利用計画案などを踏まえ、市区町村が支給の要否や利用できる支給量などを決定します。
支給決定されると、通所受給者証が交付されます。
申請から交付までに必要な期間は自治体や個別の状況によって異なるため、利用開始を希望する時期がある場合は早めに確認しておきましょう。
5.事業所を見学・比較する
受給者証の手続きと並行して、利用候補となる放課後等デイサービスを探しておくと進めやすくなります。
受給者証の交付前でも見学や相談を受け付けている事業所があります。
送迎を希望する場合は、見学時に自宅や学校の場所を伝え、送迎可能エリアに含まれるか確認しましょう。
6.事業所と契約して送迎方法を決める
利用する事業所が決まったら、重要事項説明を受け、契約を行います。
送迎を利用する場合は、送迎場所、曜日、予定時間、引き渡し方法、緊急時の連絡方法なども確認します。
送迎開始前に確認しておきたいこと
送迎を安心して利用するためには、契約時に具体的な運用方法を確認しておくことが大切です。
- 送迎エリア:自宅や学校が実際の送迎範囲に含まれているか
- 送迎時間:迎えや帰宅のおおよその時間と、前後する可能性がある時間幅
- 引き渡し方法:帰宅時に保護者などの立ち会いが必要か
- 緊急時の連絡方法:送迎の遅れや体調変化があった場合の連絡方法
- 欠席・予定変更時の連絡:当日の変更をいつまでに、どの方法で伝えるか
- 送迎体制:運転担当者や同乗職員など、どのような体制で安全管理を行っているか
初めて車での送迎を利用する子どもの場合、乗車に不安を感じることもあります。必要に応じて、子どもの特性や苦手なこと、落ち着きやすい声かけなどを事前に事業所と共有しておくとよいでしょう。
送迎付きの放課後等デイサービスを選ぶポイント
放課後等デイサービスを選ぶときは、送迎の便利さだけでなく、子どもに必要な支援が受けられるか、安全に利用できるかを総合的に確認することが大切です。
支援内容が子どもに合っているか確認する
まず確認したいのは、事業所の支援方針や活動内容が子どもの状態や希望に合っているかどうかです。
見学時には、活動内容だけでなく、スタッフが子ども一人ひとりの様子を見ながら関わっているかも確認してみましょう。
また、個別支援計画をどのように作成し、保護者と支援方針を共有しているかを聞いておくことも大切です。
スタッフや保護者との連携方法を確認する
送迎時は、家庭と事業所が直接情報をやり取りする機会でもあります。
子どもの当日の様子や体調変化について、どのように保護者へ共有しているか確認しましょう。
連絡帳、アプリ、電話など、事業所によって連絡方法は異なります。保護者が質問や相談をしやすい体制になっているかも確認ポイントです。
送迎時の安全管理を確認する
送迎を利用する場合は、安全管理の方法も確認しておきたい重要なポイントです。
- 乗車・降車する子どもの人数をどのように確認しているか
- 乗車名簿などを使って確認・記録しているか
- 降車後に車内へ子どもが残っていないか確認しているか
- 年齢や体格に応じてシートベルトなどを適切に使用しているか
- 送迎中の子どもの安全をどのような体制で確認しているか
- 対象となる送迎車両について、置き去り防止を支援する安全装置を適切に管理しているか
見学時には、「降車後の確認はどのようにしていますか」「送迎中に体調が変わった場合はどのように対応しますか」など、具体的に質問してみると確認しやすくなります。
営業時間と送迎終了時刻が家庭の生活に合うか確認する
共働き家庭の場合、送迎があることだけでなく、事業所の営業時間と家庭の帰宅時間が合っているかも重要です。
事業所から自宅まで送ってもらえても、帰宅時に保護者などへの引き渡しが必要であれば、勤務終了時刻との調整が必要になる場合があります。
延長支援を行っている事業所もありますが、実施の有無や利用条件は事業所によって異なります。
送迎、営業時間、延長支援、引き渡し方法をまとめて確認し、家庭の生活に無理なく取り入れられるか検討しましょう。
実際の施設や子どもの様子を見学する
ホームページだけでは、施設の雰囲気やスタッフの関わり方までは十分にわからないことがあります。
可能であれば事前に見学し、次のような点を確認してみましょう。
- 子どもが落ち着いて過ごせる環境になっているか
- スタッフが子どもの様子に合わせて声をかけているか
- 施設内の安全対策や整理整頓が行われているか
- 活動内容が子どもの興味や支援ニーズに合いそうか
- 保護者からの質問にわかりやすく説明してもらえるか
事業所によっては、見学以外の体験機会を設けている場合もあります。実施状況や参加条件は事業所ごとに確認してください。
まとめ|送迎だけでなく支援内容や安全性も含めて選ぼう
送迎ありの放課後等デイサービスは、学校や自宅への送り迎えの負担を軽減できる場合があり、仕事と子育てを両立している家庭にとって検討しやすい選択肢のひとつです。
ただし、放課後等デイサービスは、保護者の就労中の預かりを主な目的とするサービスではありません。子どもの支援の必要性に基づいて利用する障害児通所支援であり、利用には市区町村による支給決定が必要です。
また、送迎の対応エリア、時間、引き渡し方法、費用、安全管理の方法は事業所によって異なります。
送迎の便利さだけで決めるのではなく、子どもに合った支援内容か、安全に通える体制になっているか、家庭の生活時間に無理なく組み込めるかを確認することが大切です。
複数の事業所を比較し、必要に応じて見学や相談を行いながら、子どもと家庭に合った利用先を検討していきましょう。

