「学校に行くことが難しい今、この子が安心して過ごせる場所はあるのだろうか」と悩む保護者の方もいるでしょう。
不登校の小学生が過ごせる場所には、教育支援センターやフリースクール、学びの多様化学校、放課後等デイサービス、地域の交流拠点など、さまざまな選択肢があります。
在籍校の別室や校内教育支援センターなど、学校内に別の学びの場が用意されている場合もあります。
この記事では、主に学校外で利用できる6つの居場所と、選び方、費用、指導要録上の出席扱いについて解説します。子どもの状況や希望に合った選択肢を考えるための参考にしてください。
小学生の不登校における「居場所」が果たす役割
不登校の背景や子どもの状態は、一人ひとり異なります。学校へ戻ることだけを目標にするのではなく、本人が安心して過ごし、学びや人とのつながりを保てる環境を考えることが大切です。
居場所は、単に時間を過ごす場所ではありません。本人が無理をせず、自分のペースで活動したり休んだりできる場所も、選択肢の一つです。
家で過ごすことも選択肢の一つ
学校に行くことが難しい時期に、すぐに別の場所へ通わなければならないわけではありません。
外出や人との関わりを負担に感じている場合は、まず家庭で落ち着いて過ごすことが合っていることもあります。
一方で、心身の不調が強い場合や、生活への影響が大きい場合には、学校の相談窓口や医療機関などへの相談が必要になることもあります。
本人の様子を見ながら、無理のない方法を考えていきましょう。
本人の希望を確認しながら外の居場所も検討する
子どもが外出や人との交流に興味を示したときは、学校以外の居場所について情報を集めてみる方法があります。
ただし、「元気になったから次の段階へ進む」と一律に考える必要はありません。
「少し見学してみる」「短時間だけ参加してみる」など、本人の希望や負担感に合わせて検討することが大切です。
不登校の小学生が安心して過ごせる居場所を選ぶ5つのポイント
居場所を選ぶ際は、施設の知名度だけでなく、子どもが安心して過ごせる環境かどうかを確認することが重要です。
ここでは、見学や体験時に確認したい5つのポイントを紹介します。
①子どもの状態を否定せず受け止めてくれること
学校に行けないことについて、不安や自信の低下を感じている子どももいます。
「できないこと」を責めるのではなく、本人の気持ちや状況を理解しようとしてくれる環境かどうかを確認しましょう。
スタッフの声かけや子どもとの距離感は、見学や体験時に確認しておきたいポイントです。
②登校や活動を急かされないこと
「早く学校へ戻ろう」「もっと頑張ろう」と急かされることが、負担になる子どももいます。
居場所を選ぶ際は、学校復帰だけを目標にするのではなく、本人の状況や希望を尊重してくれるかを確認しましょう。
施設によって支援方針は異なるため、見学時に考え方を聞いておくと安心です。
③活動や学習のペースを調整できること
学習を中心にしたい子もいれば、まずは好きな活動から始めたい子もいます。
活動内容や参加方法をある程度選べる環境であれば、本人が無理なく過ごしやすいことがあります。
自由に過ごせる時間と決められた活動のバランスも確認してみましょう。
④一人で過ごしたり休んだりできる場所があること
常に集団活動へ参加することが負担になる場合もあります。
疲れたときに休める場所や、一人で落ち着いて過ごせるスペースがあるかも大切な確認事項です。
施設内の環境や1日のスケジュールを見せてもらうと分かりやすいでしょう。
⑤人との関わり方を無理に求められないこと
人との関わりに負担を感じる子どももいれば、交流を楽しみたい子どももいます。
全員に同じ関わり方を求めるのではなく、本人のペースに合わせてもらえる環境か確認しましょう。
少人数で活動できるか、交流への参加を自分で選べるかなども確認しておくと安心です。
不登校の小学生が利用できる主な居場所6選
不登校の小学生が利用できる場所には、公的機関から民間施設までさまざまな選択肢があります。
利用条件や費用、活動内容はそれぞれ異なるため、本人の状況や家庭の事情に合わせて比較しましょう。
1. 教育支援センター
教育支援センターは、教育委員会などが設置している不登校児童生徒の支援機関です。「適応指導教室」などの名称が使われている地域もあります。
不登校に関する相談のほか、教科学習、カウンセリング、体験活動などが行われています。
利用対象、開室日、活動内容、費用などは自治体によって異なります。
条件を満たした場合には、教育支援センターへ通った日が在籍校で指導要録上の出席扱いとなることもあります。
利用を検討する場合は、在籍校や教育委員会の教育相談窓口などに確認してみましょう。
2. 学びの多様化学校
学びの多様化学校は、不登校児童生徒の実態に配慮した特別な教育課程を編成できる学校です。
以前は「不登校特例校」と呼ばれていましたが、文部科学省は2023年に新たな名称として「学びの多様化学校」を公表しました。
公立・私立の学校があり、一般的な学校とは異なる授業時間や学習内容を取り入れている学校もあります。
ただし、設置されている地域は限られており、入学や転入の条件も学校によって異なります。
利用を検討する場合は、文部科学省の設置者一覧や自治体、各学校の案内を確認しましょう。
3. フリースクール
フリースクールは、主に民間団体などが運営している学びや交流の場です。
学習支援を中心とする施設もあれば、調理、農業、アート、ゲーム、スポーツなどの活動を取り入れている施設もあります。
運営方針や活動内容、利用頻度、料金は施設によって大きく異なります。月額で利用料が設定されているほか、入会金や教材費などが必要な場合もあります。
一定の要件を満たし、在籍校の校長が適切と判断した場合には、通所した日が指導要録上の出席扱いとなることがあります。
出席扱いを希望する場合は、利用を決める前に在籍校へ相談しておくことが大切です。
4. 放課後等デイサービス
放課後等デイサービスは、学校等に就学している障害のある子どもを対象とした児童福祉法に基づく障害児通所支援です。
不登校であることだけを理由に、すべての子どもが利用できるサービスではありません。
一方、通所給付決定にあたって、医学的な診断名や障害者手帳の所持が必ず必要というわけでもありません。
子どもの状態や発達支援の必要性などを踏まえて、市区町村が支給決定を行います。申請時に必要となる書類や確認方法は自治体によって異なります。
放課後等デイサービスでは、子どもの状態や希望などを踏まえた個別支援計画に基づいて支援が行われます。
利用するためには、市区町村へ申請し、通所受給者証の交付を受ける必要があります。
サービス費の利用者負担は原則1割ですが、世帯の所得に応じて月ごとの負担上限額が設定されています。おやつ代や活動費などの実費が別途必要になる場合もあります。
利用を検討する場合は、お住まいの市区町村の障害児支援を担当する窓口などで確認しましょう。
5. こども食堂・プレーパークなど地域の交流拠点
こども食堂やプレーパークなど、地域の活動が子どもの居場所になる場合もあります。
学習や学校復帰を目的とする施設ではないため、本人が好きな活動をしたり、地域の人と交流したりできることがあります。
ただし、開催日や対象年齢、参加方法、活動内容は団体によって異なります。
平日の日中に利用できるとは限らないため、不登校時の居場所として利用したい場合は、事前に開催時間を確認しましょう。
自治体、社会福祉協議会、NPO法人などが地域の居場所情報を公開している場合もあります。
6. 塾・習い事
塾や習い事も、子どもが興味のあることに取り組める場所の一つです。
スポーツ、音楽、絵、プログラミングなど、学校とは異なる環境で好きな活動に取り組める場合があります。
集団活動が負担になる場合には、少人数制や個別形式が合うこともあります。
ただし、一般的な塾や習い事は不登校支援を目的とした施設ではありません。
指導要録上の出席扱いを希望する場合は、対象になるかどうかを事前に在籍校へ確認する必要があります。
不登校の小学生の居場所を選ぶときに確認したいポイント
居場所を選ぶ際は、活動内容だけでなく、通いやすさや費用、支援体制も確認することが大切です。
子どもの特性や困りごとに対応できるか確認する
感覚への敏感さ、対人関係への不安、学習のつまずきなど、子どもによって困っていることは異なります。
見学時には、具体的にどのような対応が可能なのかスタッフへ確認してみましょう。
対応できる内容だけでなく、本人の気持ちや希望をどのように支援へ反映しているかも確認したいポイントです。
通いやすい場所と曜日・時間帯か確認する
自宅からの距離や交通手段は、継続して利用するうえで重要です。
最寄り駅やバス停からのアクセス、送迎の有無、利用できる曜日や時間帯などを確認しましょう。
本人が「このくらいなら行けそう」と感じられるかどうかも含めて考えることが大切です。
利用にかかる費用と助成制度を確認する
必要な費用は、利用する居場所によって大きく異なります。
教育支援センター、フリースクール、放課後等デイサービス、塾などでは、料金の仕組みもそれぞれ異なります。
自治体によっては、フリースクールなどの利用費に対する助成制度を設けている場合があります。
利用料だけでなく、入会金、教材費、交通費、活動費なども含めて確認しておきましょう。
不登校の小学生が出席扱いになる場合を知っておこう
学校へ登校していない場合でも、一定の要件を満たせば、学校外の施設での活動や自宅でのICTを活用した学習が、指導要録上の出席扱いとなることがあります。
ただし、施設へ通ったりオンライン学習を行ったりすれば、自動的に出席扱いになるわけではありません。
学校外の施設へ通った場合の出席扱い
教育支援センターなどの公的機関や、一定の民間施設で相談・指導を受けている場合、要件を満たせば在籍校の校長が出席扱いとすることができます。
主なポイントには、保護者と学校との間に十分な連携・協力体制があることや、子どもにとって適切な施設であることなどがあります。
特に民間施設については、校長が教育委員会と十分に連携しながら、その施設での相談・指導が適切かどうかを判断します。
具体的な確認方法や必要な手続きは、学校や教育委員会によって異なる場合があります。
出席扱いを希望する場合は、施設の利用を始める前や利用開始後の早い段階で、担任や学校管理職などに相談しておくとよいでしょう。
自宅でICT等を活用した学習が出席扱いになる場合
外出が難しい不登校児童生徒が、自宅でICT等を活用して学習した場合にも、一定の要件を満たせば出席扱いとなることがあります。
文部科学省が示す主な要件には、学校と保護者の十分な連携、定期的・継続的な対面指導、本人の理解度を踏まえた計画的な学習、学校による学習状況の把握などがあります。
また、ICT等を活用した学習を出席扱いとするのは、基本的に学校外の公的機関や民間施設で相談・指導を受けることが難しい場合とされています。
利用する教材や学習方法だけで判断されるものではないため、在籍校と相談しながら進めることが重要です。
不登校の子どもを持つ保護者が利用できる相談先
居場所探しについて迷ったときは、家庭だけで判断せず、学校や地域の相談機関を利用する方法があります。
教育委員会の教育相談窓口や学校へ相談する
教育委員会では、不登校を含む子どもの教育に関する相談窓口を設けている地域があります。
教育支援センターや地域の支援機関について情報を得られる場合もあります。
また、学校では担任だけでなく、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーなどに相談できる場合があります。
相談できる日時や体制は学校・自治体によって異なるため、在籍校や教育委員会へ確認しましょう。
保護者同士の交流会や親の会を利用する
不登校の子どもを持つ保護者向けの交流会や「親の会」を、NPO法人や地域団体などが開催していることもあります。
同じような経験を持つ人の話を聞いたり、地域の支援情報を共有したりできる場になることがあります。
オンラインで参加できる活動もあるため、自分に合った方法で利用を検討してみましょう。
子どもの居場所だけでなく、保護者自身が安心して相談できる場所を持つことも大切です。
不登校の小学生に合った居場所を焦らず探そう
不登校の小学生が過ごせる場所には、教育支援センター、学びの多様化学校、フリースクール、放課後等デイサービス、地域の交流拠点、塾や習い事など、さまざまな選択肢があります。
どの場所が合うかは、子どもの状態や希望、必要な支援、家庭の状況によって異なります。
また、学校外の施設や自宅でのICT学習が指導要録上の出席扱いとなる場合もありますが、一定の要件があり、学校側の判断が必要です。
最初から一つの場所に決める必要はありません。本人の意向を確認しながら、学校や教育委員会などとも相談し、見学や情報収集を通して無理のない選択肢を探していきましょう。

