「子どもの言葉がゆっくりかもしれない」「落ち着きのなさが気になる」と、不安を感じる保護者の方もいるのではないでしょうか。
子どもの発達には個人差があり、一つの行動だけで発達上の問題や発達障害の有無を判断することはできません。一方で、日常生活での困りごとが続いている場合や、保護者が気になっている場合には、専門機関へ相談することができます。
この記事では、子どもの発達が気になるときに相談を考える目安、主な相談先、相談前に準備しておくと役立つことをわかりやすく解説します。
専門家への相談を考える3つの目安
「このくらいで相談してもよいのだろうか」と迷うこともあるでしょう。発達の現れ方には個人差があるため、特定の項目だけで判断する必要はありません。
気になる様子が続いている場合や、家庭・園などで困りごとが生じている場合は、相談するきっかけの一つとして考えてみましょう。
言葉や会話について気になることがある
言葉の発達は一人ひとり異なりますが、3歳頃になると、言葉の発達や同年代の子どもとの会話などが健康診査でも確認されます。
たとえば、次のような様子が気になる場合は、相談してみてもよいでしょう。
- 言葉がなかなか増えないことが気になっている
- 言葉でのやりとりが難しいと感じる
- 簡単な問いかけや指示が伝わりにくいと感じる
- 同年代の子どもとの会話について気になることがある
これらに当てはまるからといって、発達上の問題があると決まるわけではありません。言葉だけでなく、聞こえ方や生活環境などが関係することもあるため、気になる場合は市区町村の相談窓口や小児科などへ相談できます。
落ち着きや行動について困ることがある
幼児期は活発に動くことも多く、落ち着きのなさだけで発達の状態を判断することはできません。
一方で、次のような状況が繰り返され、本人や周囲が困っている場合は相談の目安になります。
- 食事や活動の場面で席を離れることが多く、生活上の困りごとになっている
- 声をかけても活動を切り替えることが難しい場面が続いている
- 道路への飛び出しなど、安全面で心配な行動が繰り返される
- 家庭だけでなく園などでも、落ち着きや集中について気になると言われている
行動は年齢や環境によっても変わります。安全面の心配がある場合や、家庭・園での困りごとが続いている場合は、早めに相談先を確認してみましょう。
コミュニケーションや人との関わりが気になる
人との関わり方やコミュニケーションにも個人差があります。
たとえば、次のようなことが継続して気になる場合は、相談のきっかけになります。
- 呼びかけへの反応について気になることがある
- 言葉や指差し、表情などでのやりとりが難しいと感じる
- 家族や同年代の子どもとの関わり方について気になる
- 園などの集団生活でコミュニケーション上の困りごとがある
一つの行動だけで判断するのではなく、普段の様子や生活上の困りごとを含めて考えることが大切です。「何となく気になる」という段階でも、地域の相談窓口を利用できます。
発達が気になるときの主な相談先・窓口4選
発達について相談できる場所には、市区町村の窓口、医療機関、福祉の専門機関などがあります。
窓口の名称や対象年齢、相談方法は地域によって異なるため、利用前に自治体や各機関の公式情報を確認しましょう。
市区町村のこども家庭センター・母子保健窓口
最初の相談先として利用しやすいのが、市区町村のこども家庭センターや母子保健を担当する窓口です。
こども家庭センターでは、妊産婦や子育て家庭、子どもからの相談に対応し、必要に応じて地域の医療・福祉・子育て支援機関などと連携しています。
自治体によっては、保健センターや健康課、子育て支援課などが相談窓口になっている場合もあります。保健師などの専門職に、子どもの発育・発達や育児について相談できます。
「病院へ行くべきかわからない」「まずどこへ相談すればよいかわからない」という場合は、お住まいの市区町村の公式サイトで発達・子育て相談の窓口を確認してみましょう。
かかりつけの小児科
かかりつけの小児科も相談先の一つです。
言葉や行動、運動面などについて気になることがあれば、診察時に相談できます。必要に応じて、発達を専門とする小児科や児童精神科などの医療機関を案内される場合もあります。
すべての小児科が発達に関する専門診療を行っているわけではないため、予約時に相談内容を伝えておくと安心です。
児童発達支援センター
児童発達支援センターは、地域の障害児支援の中核的な役割を担う施設です。
子どもの発達を支える本人支援だけでなく、家族への支援や、保育所・幼稚園・医療機関・自治体などとの連携も行います。
施設によっては、保育士、児童指導員、心理職、リハビリテーションに関わる専門職などが支援に携わっています。ただし、職員構成や相談できる内容は施設によって異なります。
利用方法や相談方法については、お住まいの自治体または地域の児童発達支援センターへ確認しましょう。
発達障害者支援センター
発達障害者支援センターは、発達障害のある方やその家族などを対象に、相談支援、発達支援、情報提供、関係機関との連携などを行う専門機関です。
都道府県や指定都市ごとに設けられており、地域の医療・保健・福祉・教育などの機関と連携して支援を行っています。
対象年齢や相談方法、予約の要否などはセンターによって異なります。子どもの相談に対応しているかを事前に確認してから利用するとよいでしょう。
相談前に準備しておきたい3つのこと
相談の際は、子どものこれまでの成長や現在困っていることを伝えられるようにしておくと、状況を共有しやすくなります。
必要な持ち物は相談先によって異なるため、予約時に確認してください。
母子健康手帳など成長の経過がわかるもの
母子健康手帳には、出生時の状況や乳幼児健康診査、これまでの成長などの記録があります。
相談先から持参を案内された場合や、手元にある場合は準備しておくと、発達の経過を伝える際の参考になります。
母子健康手帳以外にも、これまで受けた検査や相談の記録がある場合は、必要に応じて準備しておきましょう。
気になる様子をまとめたメモ
日頃から気になっていることを簡単にメモしておくと、相談時に状況を伝えやすくなります。
次のような内容を整理しておくとよいでしょう。
- いつ頃から気になっているか
- どのような場面で起こるか
- どのくらいの頻度で見られるか
- 家庭ではどのように対応しているか
- 本人や家族が困っていることは何か
たとえば「食事の途中で席を離れることが多い」「言葉がなかなか増えず気になっている」など、具体的に書いておくと状況を共有しやすくなります。
園など集団生活での様子がわかる情報
保育園、幼稚園、認定こども園などに通っている場合は、家庭以外での様子も参考になります。
担任の先生から聞いた内容をメモしたり、必要に応じて連絡帳などを確認したりしておくとよいでしょう。
特に、友達との関わり、活動への参加、言葉でのやりとり、食事や着替えなどについて、家庭との違いがあるか整理しておくと相談に役立ちます。
相談窓口を利用するときの一般的な4つの流れ
相談の方法や流れは機関によって異なります。ここでは一般的な流れを紹介します。
相談方法や予約の要否を確認する
まずは電話やWebサイトなどで、相談方法を確認します。
予約が必要な窓口もあれば、電話相談から利用できるところもあります。対象年齢や相談内容、必要な持ち物についても確認しておきましょう。
相談したい内容を整理する
相談日までに、気になることや困っていることを簡単にまとめておきます。
「言葉について相談したい」「園で集団活動に入りにくいと言われた」など、特に聞きたいことを整理しておくと相談しやすくなります。
子どもの様子やこれまでの経過を伝える
相談時には、これまでの成長の経過や家庭・園での様子などを聞かれることがあります。
うまく説明しようとしすぎる必要はありません。わかる範囲で、普段の様子や保護者が気になっていることを伝えましょう。
相談先によっては、子どもの遊び方や人との関わり方などを確認する場合もあります。
今後の対応を一緒に検討する
相談内容や子どもの様子に応じて、今後どのように対応するかを検討します。
家庭での関わり方について助言を受けたり、経過を見ながら再度相談したりする場合があります。また、必要に応じて医療機関や児童発達支援などを案内されることもあります。
相談したからといって、必ず特定のサービスを利用しなければならないわけではありません。説明を聞きながら、家庭の状況や子どもの様子に合った方法を考えていきましょう。
相談するとすぐに診断される?不安に感じる保護者の方へ
「相談したら発達障害と診断されるのでは」と不安になる方もいるでしょう。
行政の相談窓口や児童発達支援センターなどへ相談することと、医療機関で診断を受けることは同じではありません。
相談だけで診断が決まるわけではない
発達障害の診断は、専門の医師が医療機関で行います。
一方、市区町村の相談窓口や発達障害者支援センターなどでは、保護者の悩みを聞いたり、必要な支援や相談先について情報を提供したりします。
相談しただけで診断が決まるわけではないため、まずは現在困っていることを整理する機会として利用してもよいでしょう。
専門家に相談すると選択肢を整理しやすくなる
インターネットにはさまざまな情報がありますが、子どもの発達や生活環境は一人ひとり異なります。
専門家へ相談すると、現在の困りごとを整理し、家庭でできる工夫や利用できる相談先について考えるきっかけになります。
すぐに結論を出そうとせず、わからないことや気になっていることから相談してみましょう。
保護者の困りごとも相談してよい
発達相談は、子どもの状態だけを確認する場とは限りません。
「毎日の対応に疲れている」「どう声をかければよいかわからない」など、保護者自身が困っていることも相談できます。
家庭だけで抱え込まず、地域の相談窓口や専門機関を利用しながら、必要な支援を検討していくことが大切です。
相談後に家庭で取り入れやすい3つの工夫
家庭での関わり方に一つの正解があるわけではありません。子どもの年齢や発達の状況、得意・不得意によって合う方法は異なります。
専門家から具体的な助言を受けている場合は、その内容を優先しながら無理のない範囲で取り入れてみましょう。
できることを小さな段階に分ける
一度に多くのことを求めるのではなく、取り組む内容を小さく分ける方法があります。
たとえば、「おもちゃを全部片付ける」ことが難しい場合は、「車のおもちゃを箱に入れる」など、一つの行動から始めます。
できたことや取り組もうとしたことを具体的に伝えると、子どもが次の行動に取り組みやすくなる場合があります。
目で確認できる情報を取り入れる
言葉だけの説明よりも、写真やイラスト、予定表などを一緒に使うことで理解しやすくなる子どももいます。
たとえば、手洗いの手順をイラストで示したり、「着替え」「朝ごはん」「歯みがき」などの予定を絵で示したりする方法があります。
ただし、視覚的な支援がすべての子どもに適しているわけではありません。子どもの反応を見ながら、わかりやすい方法を探していきましょう。
保護者自身が休める時間も確保する
子育てが続く中で、保護者が疲れを感じることは珍しくありません。
家族に協力をお願いしたり、自治体の一時預かりやファミリー・サポート・センターなど、地域で利用できる子育て支援を確認したりする方法もあります。
利用できるサービスや条件は自治体によって異なります。無理を続けるのではなく、家庭に合った方法で休息できる時間を確保することも大切です。
まとめ|発達が気になったら利用しやすい相談先から始めよう
子どもの発達には個人差があり、言葉の遅れや落ち着きのなさなど、一つの様子だけで発達障害などを判断することはできません。
一方で、家庭や園で困りごとが続いている場合や、保護者が気になっている場合には、市区町村のこども家庭センター・母子保健窓口、かかりつけの小児科、児童発達支援センター、発達障害者支援センターなどへ相談できます。
相談前には、母子健康手帳など成長の経過がわかるものや、気になる様子をまとめたメモ、園での様子に関する情報を準備しておくと、状況を伝えやすくなります。
相談すること自体が診断を意味するわけではありません。どこへ相談すればよいかわからない場合は、まずお住まいの市区町村の子育て・母子保健に関する相談窓口を確認し、現在気になっていることから相談してみましょう。

