「放課後等デイサービスを平日に毎日利用したいけれど、制度上できるのだろうか」と疑問に感じている保護者の方もいるのではないでしょうか。
結論からいうと、受給者証に記載された支給量の範囲内で、事業所の営業日や定員などの条件を満たしていれば、平日に週5日利用できる場合があります。
ただし、希望すれば必ず毎日利用できるわけではありません。支給量は、子どもの心身の状況や必要な発達支援、家庭環境などを踏まえて市町村が個別に決定します。
この記事では、放課後等デイサービスの利用日数が決まる仕組み、支給量の変更方法、利用料、子どもの負担、学童保育や複数事業所との組み合わせ方を解説します。
放課後等デイサービスは平日に毎日利用できる場合がある
受給者証の支給量が足りており、事業所の受け入れが可能であれば、学校がある平日に週5日利用できる場合があります。
一方で、受給者証に十分な日数が記載されていても、事業所の休業日や定員、送迎体制などによって、希望する曜日すべてを利用できないことがあります。
利用できる日数は受給者証の支給量で決まる
放課後等デイサービスを利用するには、市町村が交付する通所受給者証が必要です。
受給者証には「月○日」のように、1か月に利用できる日数の上限である支給量が記載されています。複数の放課後等デイサービスを利用する場合も、利用日数の合計はこの支給量の範囲内に収める必要があります。
たとえば、支給量が月23日で、事業所の営業日や空き状況に問題がなければ、平日の多くを利用できる可能性があります。
支給量の原則的な上限は月によって異なる
放課後等デイサービスなどの障害児通所支援では、原則として「各月の日数から8日を引いた日数」が支給量の上限とされています。
- 31日の月:原則23日
- 30日の月:原則22日
- 28日の月:原則20日
- 29日の月:原則21日
ただし、これは一律の利用日数ではありません。子どもの状態や必要な支援内容を踏まえ、市町村が必要と判断した場合は、原則の日数を超える支給量が認められることもあります。
支給量の詳しい考え方は、こども家庭庁の障害児通所給付費に関する事務処理要領でも確認できます。
支給量があっても希望する曜日に通えるとは限らない
支給量は、福祉サービスとして利用できる日数の上限です。実際に通える曜日や時間帯は、事業所との契約内容によって決まります。
平日に毎日利用したい場合は、次の点を事前に確認しましょう。
- 希望する曜日に定員の空きがあるか
- 学校が休みの日にも営業しているか
- 事業所の休業日はいつか
- 学校への迎えや自宅への送りに対応しているか
- 利用できる終了時刻は何時か
受給者証の支給量が決まる仕組み
支給量は、保護者が希望した日数をそのまま認める仕組みではありません。
市町村が、子どもに必要な発達支援の内容や生活状況などを確認し、1か月当たりの利用必要日数を個別に決定します。
支給量の決定で確認される主な内容
市町村による調査では、主に次のような内容が確認されます。
- 子どもの心身の状況や日常生活上の困りごと
- 学校や家庭など、子どもが置かれている環境
- 保護者など、日常的に子どもを支える人の状況
- 現在利用している医療・福祉・教育サービス
- 子ども本人や保護者が希望する支援内容
- 障害児支援利用計画案の内容
- 地域で利用できるサービスや事業所の状況
診断書や障害者手帳、療育手帳などが確認資料になる場合もありますが、診断名や手帳の有無だけで支給量が決まるわけではありません。
申請時は必要な支援内容を具体的に伝える
申請時には、希望日数だけでなく、なぜその日数の発達支援が必要なのかを具体的に伝えることが大切です。
たとえば、次のような情報を整理しておくと、家庭や子どもの状況を説明しやすくなります。
- 現在の学校生活や家庭生活の様子
- 放課後に必要としている支援や見守り
- 子どもが困っている場面や身につけたい力
- 現在利用しているサービスと利用日数
- 希望する曜日と、その曜日に利用する目的
- 保護者の就労状況や家庭内の支援体制
- 学童保育など、ほかの選択肢の利用状況
事実を誇張したり、不安を強調したりする必要はありません。担当者が必要な支援量を適切に判断できるよう、現在の状況をできるだけ正確に伝えましょう。
支給量を変更したい場合は変更申請ができる
子どもの状態や家庭環境が変わり、現在の支給量では必要な支援を受けにくくなった場合は、市町村に支給量の変更を申請できます。
変更申請では、現在の支給量、希望する変更後の日数、変更が必要になった理由などを伝えます。変更後の支給量は、原則として変更決定を受けた月の翌月から適用されます。
長期休暇などに合わせて利用日数を増やしたい場合は、利用を希望する時期より前に、自治体や相談支援専門員へ確認しておくと安心です。
決定に納得できない場合は通知書を確認する
支給量が申請内容より少なかった場合は、まず決定通知書に記載された理由や、不服申立てに関する案内を確認しましょう。
子どもや家庭の状況が十分に伝わっていないと考えられる場合は、自治体の担当窓口へ決定理由を確認し、必要に応じて追加資料の提出や変更申請について相談します。
市町村が行った障害児通所給付費に関する処分に不服がある場合は、都道府県知事への審査請求が可能です。期限は原則として処分を知った日の翌日から3か月以内ですが、提出先や期限は決定通知書の記載を確認してください。
毎日利用する前に子どもの状態を確認しよう
制度上利用できる日数と、子どもに合う利用頻度は必ずしも同じではありません。
一定の生活リズムがあることで過ごしやすくなる子どもがいる一方で、学校のあとに別の環境で活動することが心身の負担になる子どももいます。
学校のあとの活動が負担になる場合もある
学校生活のあとに放課後等デイサービスを利用すると、環境の切り替えや集団活動などによって疲れを感じることがあります。
特に、音や光、人の多さなどの刺激に敏感な子どもや、環境の変化に慣れるまで時間がかかる子どもは、帰宅後に休息が必要になる場合があります。
ただし、感じ方や疲れ方には個人差があります。毎日利用すること自体が良い、または悪いと一律に判断するのではなく、子どもの様子を継続して確認することが大切です。
疲れや体調変化の可能性があるサイン
次のような変化が続く場合は、利用日数や活動内容が子どもに合っているかを振り返ってみましょう。
- 帰宅後のぐずりやかんしゃくが増えた
- 朝起きにくくなった
- 登校や通所への行き渋りが増えた
- 睡眠や食欲に変化が見られる
- 帰宅後に長時間ぼんやりしている
- 休日も疲れが残っているように見える
- 「休みたい」「行きたくない」という発言が増えた
これらの変化は、放課後等デイサービスの利用だけが原因とは限りません。学校生活、人間関係、体調、睡眠不足など、さまざまな要因が考えられます。
強い体調不良や睡眠・食欲の変化が続く場合は、学校や事業所だけでなく、必要に応じて小児科などの医療機関にも相談してください。
利用頻度を考えるときのチェックポイント
利用日数を決める際は、次の点を確認しましょう。
- 子ども本人は通所についてどのように感じているか
- 事業所の活動内容が子どもの希望や支援目標に合っているか
- 帰宅後や休日に十分な休息を取れているか
- 睡眠や食事、登校に影響が出ていないか
- 家庭でゆっくり過ごす時間を確保できているか
- 活動量や利用時間を事業所と調整できるか
毎日通うかどうかだけでなく、利用時間を短くする、活動内容を調整する、週の途中に休息日を設けるといった方法も検討できます。
共働き家庭が毎日利用するときの現実的な課題
受給者証に十分な支給量があっても、実際の利用では送迎、利用時間、費用、空き状況などの確認が必要です。
送迎や利用終了時刻は事業所によって異なる
放課後等デイサービスの送迎は、すべての事業所が行っているわけではありません。
送迎を行っている事業所でも、学校への迎えのみ、自宅への送りのみ、特定の学校や地域だけに対応するなど、条件が異なります。
見学や契約の前に、次の点を確認しましょう。
- 学校への迎えに対応しているか
- 自宅まで送ってもらえるか
- 送迎エリアに学校と自宅が含まれているか
- 送迎車の定員に空きがあるか
- 自宅への到着時刻は何時頃か
- 長期休暇中の送迎条件は変わるか
利用料には月額上限がある
放課後等デイサービスの利用者負担は、原則としてサービス費用の1割です。ただし、世帯の所得に応じて月ごとの負担上限額が設定されており、対象となるサービスの自己負担が上限額を超えることはありません。
- 生活保護受給世帯:0円
- 市町村民税非課税世帯:0円
- 市町村民税課税世帯のうち所得割28万円未満:4,600円
- 上記以外の世帯:37,200円
所得区分は年収だけでなく、市町村民税の課税額や世帯の状況などによって決まります。正確な上限額は、受給者証や自治体の窓口で確認してください。
詳しい区分は、こども家庭庁の利用者負担の仕組みで確認できます。
また、おやつ代、昼食代、教材費、行事費などは、月額上限の対象外となる場合があります。実費の項目や金額、支払いが発生する条件は事業所によって異なるため、契約前に確認しましょう。
希望する曜日に空きがない場合もある
受給者証の支給量が認められていても、事業所の利用定員に空きがなければ契約できません。
特に平日の放課後や長期休暇中は利用希望が集中することがあります。
毎日利用したい場合は、次の点を確認しましょう。
- 現在受け入れ可能な曜日
- 週5日の契約が可能か
- 曜日ごとの定員状況
- キャンセル待ちの有無
- 進級後も同じ曜日を利用できるか
毎日利用する代わりに検討できる組み合わせ方
放課後等デイサービスだけで平日すべてを埋めなくても、ほかの制度や事業所と組み合わせる方法があります。
ただし、利用条件は自治体や施設によって異なるため、事前確認が必要です。
学童保育と曜日を分けて利用する
放課後等デイサービスと学童保育を、同じ週の中で曜日ごとに利用できる場合があります。
たとえば、月・水・金は放課後等デイサービス、火・木は学童保育というように分ける方法です。
放課後等デイサービスでは子どもの支援目標に沿った発達支援を受け、学童保育では地域の子どもたちと過ごすなど、それぞれの役割を踏まえた利用を検討できます。
学童保育の入所条件、受け入れ体制、放課後等デイサービスとの併用ルールは自治体や施設によって異なります。申し込み前に両方の窓口へ確認しましょう。
複数の放課後等デイサービスを利用する
1つの事業所で希望する曜日を確保できない場合は、複数の放課後等デイサービスを利用できる場合があります。
たとえば、A事業所を週3日、B事業所を週2日利用する方法です。ただし、複数事業所の利用日数を合計した日数は、受給者証の支給量を超えないようにする必要があります。
複数事業所を利用すると、支援方針や対応方法が事業所ごとに分かれてしまう可能性があります。子どもの目標や配慮事項を共有し、事業所間で連携できるか確認しましょう。
また、複数事業所の利用によって自己負担額が月額上限を超えると見込まれる場合は、上限額管理事業所を定めることがあります。手続きが必要かどうかは、自治体や契約する事業所に確認してください。
長期休暇に合わせて支給量の変更を相談する
夏休みなどの長期休暇中は、普段より利用日数を増やしたい家庭もあります。
現在の支給量では不足する場合は、市町村へ支給量の変更を申請できます。ただし、長期休暇になれば自動的に日数が増えるわけではありません。
変更決定後の支給量は原則として翌月から適用されるため、利用を希望する月より前に、自治体や相談支援専門員へ相談しておきましょう。
利用開始後も子どもに合った通い方か確認する
利用開始時に決めた日数が、その後も子どもに合い続けるとは限りません。
進級、クラス替え、家庭環境の変化、体調などに応じて、必要な利用頻度や支援内容が変わることがあります。
家庭での様子を簡単に記録する
利用開始後は、次のような点を定期的に振り返りましょう。
- 帰宅したときの表情や機嫌
- 睡眠や食欲の変化
- 翌朝の起床や登校の様子
- 通所を楽しみにしているか
- 休みたいという発言が増えていないか
- 休日に十分休めているか
毎日詳しく記録する必要はありません。気になる変化があった日だけ簡単にメモしておくと、学校や事業所へ相談するときに状況を伝えやすくなります。
事業所と家庭の様子を共有する
事業所では落ち着いて過ごしていても、帰宅後に疲れが表れることがあります。反対に、家庭では気づきにくい変化を事業所のスタッフが把握している場合もあります。
連絡帳やアプリ、面談などを活用し、次の内容を共有しましょう。
- 事業所で参加した活動
- 活動中の表情や疲れ方
- 家庭での睡眠や食事の様子
- 学校で起きた変化
- 本人が話している希望や困りごと
必要に応じて、活動量、休憩時間、利用時間、個別支援計画の内容などを調整できないか相談します。
相談支援専門員や自治体に計画の見直しを相談する
障害児相談支援を利用している場合は、相談支援専門員が作成する「障害児支援利用計画」に基づいて、利用するサービスの種類や量などを整理します。
モニタリングの時期は、市町村が子どもの状態などを踏まえて個別に決定します。標準的には6か月ごとですが、利用開始直後や支給内容が大きく変わった場合などは、より短い期間で設定されることがあります。
子どもの状況が変わった場合は、次回のモニタリングを待たずに相談できます。
相談支援専門員を利用せず、保護者がセルフプランを作成している場合は、市町村の担当窓口へ利用計画や支給量の見直しについて相談しましょう。
まとめ|放課後等デイサービスへ毎日通う前に利用計画を確認しよう
放課後等デイサービスは、受給者証に十分な支給量があり、事業所の営業日や定員などの条件を満たしていれば、平日に週5日利用できる場合があります。
支給量の原則的な上限は、各月の日数から8日を引いた日数です。ただし、実際の支給量は、子どもの心身の状況、必要な発達支援、家庭環境、利用意向などを踏まえて、市町村が個別に決定します。
また、利用できる日数と、子どもに合う通所頻度は同じとは限りません。睡眠や食欲、登校、帰宅後の様子などを確認しながら、必要に応じて利用時間や日数を見直しましょう。
学童保育との併用、複数事業所の利用、長期休暇に合わせた支給量の変更なども選択肢です。制度や手続きは自治体によって異なる場合があるため、受給者証と決定通知書を確認したうえで、自治体の窓口や相談支援専門員と利用計画を検討することが大切です。

